明石家さんま&松尾貴史、40年の付き合いの2人 舞台に向き合う姿勢は同じ「初日に間に合えばいい」
関連 :
――もう40年くらいのお付き合いで、今回の舞台で一緒になるということに特別な思いはありますか?
さんま:キッチュはそこから舞台の方に行って役者さんになっていきましたけど。俺はもうね、この人の大島渚監督のモノマネが大好きで、何回も振ったこと覚えてます、『どうですか、大島渚監督』って。そこからモノマネは捨てましたけど。
松尾:いや、捨ててないですよ(笑)。
さんま:モノマネをやりながら、芝居によく出てたり、人の芝居をよく観に来られたりしているのを見て、ああお芝居が好きやねんなって。今回もセリフを覚えてるさまを見ると、やっぱり『ああ、芝居好きやねんな』って思いながらミカン食べてる俺は情けないな(笑)。
――松尾さんはたくさんの役の膨大なセリフをしっかり入れて舞台に臨まれるイメージがありますが、さんまさんは1週間前にセリフを入れるそうですね。
さんま:1週間どころか3日前に入れれば一番生きたセリフになるという、生意気ですけど、僕はそういう作り方をしたいんです。現にそっちのほうがいいんですよ。飽きてしまうんです。セリフに飽きるというのが一番怖いんで。飽きないところで全部いっぺんに入れたいというところですよね。
――さんまさんは「台本を崩す」と過去のインタビューでおっしゃっていましたね。
さんま:台本はあるし、松尾さんはきちっとやりたいところもあると思うんですけど、芸能界のキャリアは俺が上ですから、『これで行くぞ。お前は嫌だろうけど俺はこれや、こう言うてくれるか、キッチュ』って目をします。それでちょっと間が空いても、合わしていただけるよう、今日もチャーハンおごりました。
松尾:美味しかったですよ。カニがゴロゴロ入ってて(笑)。実際、この台本は一言一句何も疑わずに正確に発語してくださいねという方がいらっしゃったり、劇作演出を兼ねる方で本当に何も変えないでという方も何人かおられます。でも僕いつも、初日に間に合えばいいっていうくらいの覚えるペースなんです。
さんま:あれ、キッチュもそうなん?
松尾:はい。だから僕は、台本に書かれていることはその場で思いついたように言う、その場で思いついたことは台本に書かれてるかのように言う、そういうのが昔から好きなんです。だからまだ稽古が始まったばかりですが、今回の場の空気はきっと僕の体質には合っていると感じてます。それを水田さんがどう思ってらっしゃるかはわかりませんけど(笑)。
さんま:そうやねん、ここ(さんま)の上に水田がおるわけやからね。
水田:いやいや……そんなぁ(笑)。
(取材・文:田幸和歌子 写真:高野広美)
舞台『斑鳩の王子 -戯史 聖徳太子伝-』は、東京・IMM THEATERにて2024年1月10日~31日、大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて2月11日~18日上演