『キカイダー 』プロデューサー、ヒット狙う「デッドボールでもいいから塁に出たい」
――確かに、卒業した子どもたちへの実写は少ないですね。一方で、卒業した大人たちが沸いた『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』という、“往年のヒーロー単体での映画化”の前例がありますが、そのときの経験は役に立ったのでしょうか。
白倉:ギャバンは放送から30年後で、本当に世代が一巡り。パパが子どものころに観ていましたと、そのパパさんをターゲットにできるじゃないですか。だから、大葉健二さんのご出演も含めて、オールドファンと今のお子さんをターゲットにして作れる。でも、40年というと、パパを超えているんですよね。だから、ギャバンのときのノウハウというのが通用しない。かつ、ギャバンだと、30年前のギャバンで活躍なさっていたキャスト・スタッフの方々というのは、今も前線でベテランとして活躍なさっておられる。だから、旧作スタッフの手を借りることができるんですが、こと40年経つと、監督や脚本の方々等、亡くなっている方も多く、30年と40年は大きく違うんだと、ギャバンもやって、キカイダーもやって、改めて感じました。一方で、過去の証言者が身近にいると、変な言い方ですが、宇宙刑事はこういうものなんだ、と結論づけてしてしまえるため、新しいことを考えずに済む。でも、キカイダーの場合、身近にいないから、どうやればいいかを必死に考えなくてはいけないんですよね。
――だからこそ、オリジナリティあふれるものになったと。
白倉:そうですね。
井上:もちろん、『人造人間キカイダー』のファンや、子どものころにテレビ放送を見ていた人は、何十年も前のことですから、脳内で美化されたり、醸造されたりして、俺の思い出のなかにあるキカイダーとは違う!となる方もいらっしゃると思います。そういった方々に対して、「そうじゃないよ、これが」と言うつもりはまったくありません。ただ、当時のキカイダーの本質は、私と白倉さんのなかのキカイダーで間違っていないように思います。
――最後に、目標興収について聞くと…。
井上:目標興収は敢えて申しません。まだまだ構想はあるので、本作の続編ができたらうれしいですが、そのためにもまずは本作。クリーンヒットさせ、きちんと塁に出ること。
白倉:上手くいった暁には、最初から続編を考えていました、と(笑)。
井上:正直なところを言えば、デッドボールでもいいから塁に出たいですよね(笑)。
『キカイダー REBOOT』は5月24日より全国ロードショー。