アカデミー助演女優に輝いたルピタ・ニョンゴ「全ての魂を投入して演じた」
奴隷制度の過酷さを描き、観るものに感動を与えて、第86回アカデミー賞では作品賞ほか3冠に輝いた『それでも夜は明ける』。同賞で助演女優賞を獲得、そのスピーチやドレス姿が注目を集め、さらにはジャレッド・レトとの恋の噂まで飛び出した、今、世界中から視線が注がれる女優ルピタ・ニョンゴが、自身の役柄、そして撮影時のエピソードを語った。
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映画『それでも夜は明ける』は、ある日突然誘拐されて、すべてを奪われた黒人音楽家・ソロモンの12年におよぶ奴隷としての生活を回想した伝記ドラマ。女優としての長編映画デビュー作となるルピタが本作で演じたのは、奴隷主エップス(マイケル・ファスペンダー)に耐えがたいほど性的に執着される奴隷パッツィーという役柄だ。
「この作品は、入り込むのが難しかったわ。でもそうする必要があった。今回の私的な歴史と時代を経験出来て、とても感謝しているの。パッツィーを演じるのは辛かったわ。でも喜びでもあった。この人たちに命をもたらすことで、私たちが歴史を作っていることがわかっていたから」。
その役柄ゆえ、劇中には役者として非常に難しいシーンも多々映し出されるが、ルピタは「一度もやりたくないと思ったことはない」と撮影を振り返る。「パッツィーには選択肢がなかったと気づいたからなの。だからパッツィーを、誇りをもって、全ての魂を投入して演じたわ」。とはいえ、時には「躊躇した」とも語る。「脚本を初めて読んで、涙にくれたの。そして自分がどうやってそこにたどり着けるのか、わからなかった。パッツィーに大きな同乗を抱いたから。でも俳優としては、感情の共鳴から感情移入しなければならない」。そんな俳優としての苦悩も明かした。
しかし、そんなルピタの悩みは、「パッツィーにとって虐待は普通だということに気づいた」ことで、「彼女は虐待を受けることを感傷的に捉えてはいない。痛みの中でもがく代わりに、痛みを越えて生きようとしていたの」と深い理解に変わったそうだ。そしてスクリーン上で魅せる最高の演技に至った。
イェール大学で演劇を学び、企画や監督といった製作スタッフとしての経験もある彼女だからこそ、パッツィーという難しい役どころを的確に捉え、そして体現できたのだと感じさせられる。