ハマる人続出! 市原隼人の新たな代表作『おいしい給食』はなぜこんなに面白いのか
●市原隼人という俳優の凄み
この『おいしい給食』が巧みなグルメとバトルの要素を併せ持ち、さらに傑作コメディとして成り立っている最大の要因は、主演の市原隼人の魅力にほかならない。
甘利田という役は、表向きは冷徹な先生の顔をしつつ、給食の時間になるとハッピー全開という振り幅の大きい難役。給食にしか興味がないダメな教師のように思えるかもしれないが、ドラマを見れば教育者として押さえるところはキッチリ押さえている説得力が備わっている。グルメドラマに欠かせないナレーションも市原本人が担当し、「なんだとぉおおお!」というような大げさな声の演技に対し、動く演技もそれに合わせて全身を使ったキレのいいリアクション芸を披露。
ドラマ『おいしい給食 season2』 (C)2021「おいしい給食」製作委員会
この役を、ストイックで実直な印象がある市原が演じるからこそ、ギャップが笑いを生み、一層コメディとしての質を上げているということは、このドラマを見た誰もが疑わないはずだ。本人も「この作品への思いはとても強く、ほかの作品とははっきり違う」と公言するように、本作が新しい代表作になることは間違いない。
『ROOKIES』の安仁屋役で一躍スターとなったことで、長らく熱血キャラというイメージを世間に持たれていた市原だが、近年はぶっ飛び系ドラマ『殴り愛、炎』のおもしろ二枚目役から、映画『ヤクザと家族 The Family』のヤクザの舎弟役まで、幅広い演技を披露している。役者としてのキャリアはすでに20年を数えるが、まだ34歳。この第一線で積み上げてきた経験こそが、市原を同世代の役者とは一線を画す存在へと押し上げたのかもしれない。
●今からでも間に合う! シーズン2
伝えたいことはまだまだある。甘利田とゴウだけでなく、シーズン1のヒロインで武田玲奈演じるひとみ先生はもちろんのこと、給食狂いの2人を優しく見守る給食のおばちゃんなど、魅力あるキャラクターたちを掘り下げたいが、とてもじゃないがここでは書ききれない。シーズン1最終話にちょっと出てくる近隣の学校の先生でさえ魅力的なのだから。
ドラマ『おいしい給食』は、ファンの大きな支持を受けて現在シーズン2が放送中だ。相変わらず甘利田先生は給食愛全開、成長し声変わりもしたゴウと再び給食バトルを繰り広げ、下校時には駄菓子屋に寄るというさらなるおいしい要素も追加された。
ドラマ『おいしい給食 season2』 (C)2021「おいしい給食」製作委員会
「シーズン1から見なきゃいけないのか」と思ったあなたも大丈夫。筆者もシーズン1の第4話「八宝菜」から見てハマり、気づけばシーズン1を3周して校歌の歌詞を暗記していたぐらいで、途中からの参加でも全く問題はない。
日本を揺るがす大事件を描いたドラマでもなければ、社会問題を掲げた作品でもない。ただひたすら楽しいドラマ『おいしい給食』。筆者の周りでおすすめした人たちは、全員が見事「給食ファン」になっている。劇場版第2弾の公開も2022年に控えるこの時期に、ぜひあなたも『おいしい給食』を堪能してほしい。気が付いたら、給食前の校歌を口ずさんでいるかもしれない。(文・稲生稔)
ドラマ『おいしい給食 season2』 (C)2021「おいしい給食」製作委員会
ドラマ『おいしい給食 season2』は、テレビ神奈川、TOKYO MX、BS12トゥエルビほかにて放送。
見逃し配信は、各サービスにて毎週金曜12時~最新話配信。
GYAO!では前シーズンドラマ『おいしい給食』一挙無料配信中。