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細谷佳正、『ザ・フラッシュ』吹き替えは「本当に大変」 丸2日かかったアフレコ裏を語る

映画

■『ジャスティス・リーグ』は6年前 役作りに変化は?

細谷:それは意識していません。映画の中で、よっぽどおじいちゃんになって登場してきたとかであれば変えるんですけど、『ザ・フラッシュ』は『ジャスティス・リーグ』からそんなに時を経ていない設定で始まっているので、変えるという意識は持ち込まないようにしました。ただ、今回の収録前に三好音響監督が『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』の吹き替え版をもう一回見せてくれたときに、硬いし変な真面目さが出てるなと思いました。今はもっとできると。

――『ジャスティス・リーグ』は2017年、『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』は2021年に公開/配信されました。細谷さんが初めてフラッシュを演じられたときから、約6年が経過しています。

細谷:もうそんなに経ったんですね。

――その上で今回、役作り的なものはどのようにされたのでしょう。本編ではフラッシュ/バリー・アレンの過去を含め、より人物像が掘り下げられていますよね。

細谷:僕は「役作り」という言葉がすごく照れくさくてあまり使わないタイプなんですけど、それは多分自分が大したことをやっているという自覚がないからだと思うんです。今回の映画は「母親の命を救いたい」と「父の無罪を証明したい」という想いが強く描かれていて。バリーは「自分はバットマンの後始末係」みたいなことをおちゃらけていうんですけど、『ジャスティス・リーグ』の時とは微妙に違っていました。バリーのおちゃらけの奥にある“理由”を知ることができて。目の前で母親を亡くして、父親がその容疑で捕まっているのはすごくショッキングな出来事だと思うんですね。そのことが彼の内面に影を落としていて、それを人に見せないためにおちゃらけているんですよね。自分の母親を救うために過去に戻ってからは、主人公然とした「目的があって成功させるために動く」という面が強まって、いままでのバリーとはまた違った真面目な姿が色濃く描かれていて。マルチバースのバリーは目的がなくて、無責任で思いついたままペラペラしゃべる。そういう意味では今回演じたバリーは違っているので、大変だったけど、演じ分けという意味ではやりやすかったです。

――本日は貴重なお話、ありがとうございます。最後に、細谷さんが吹き替えを行う際に大切にしていることを教えてください。

細谷:やり方はどんどん変わっているんですけど、いま僕が大事にしていることは、考え方ですね。劇場作品とかだとみんながリップシンクを気にするようになって、「口の形に合っているか」を重視すると思うんですけど。夢のない話を言ってしまうと英語と日本語は言語表現が全く違うので合うわけがない(笑)。じゃあどうやって雰囲気や空気に合わせていくのかって考えたときに、最近は演者さんの口じゃなくて目を見るようになりました。まず目を見て、そこから周りを見て芝居をするようにすると、雰囲気が自然と似通ってくるような気がしていて。自分がいま吹き替えをやるなら、このやり方が最善なのかなと思っています。

(取材・文:SYO 写真:池村隆司)

 映画『ザ・フラッシュ』は6月16日より世界同時公開。

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