明日海りお、宝塚トップ時代は“お父さん気質” 退団3年を経て「だいぶ緩めに」
――Season2のスタート日は11月24日と、明日海さんが宝塚を退団された記念日となります。この3年はどんな3年でしたか?
明日海:あっという間だったような気もするんですけど、私自身変化があったなと思います。宝塚を卒業してから、舞台以外にもドラマや声優など、数多くのお仕事を経験させていただきました。舞台は舞台でも女性役を演じたり、初めて出会う方とご一緒したりしたことで自分の感覚も変わりました。コロナを経たからこそ、人との付き合い方や人生観みたいなものもだいぶ変わりましたね。
また、宝塚にいたときは、組を背負って、作品に対して自分が責任を持つみたいなところが強くあったんです。最終的にはだいぶ先輩という立場にもなりましたし。あのころは、すごく“どーん”としていたというか、はったりでも“任せて!”“いいよいいよ。大丈夫だよ。私がいるから大丈夫だよ”みたいな、姉御肌というかお父さん気質みたいなところがあったなって今振り返ると思います。今はあのころよりだいぶ緩めになれていますね。
――今年は帝国劇場デビューとなった『ガイズ&ドールズ』も大変好評でした。
明日海:『ガイズ』は私にとって初めて尽くしの作品で。海外の演出家の方に演出していただいたのが初めてで、言葉の壁もありました。作品に対する思いは一緒でもやっぱり時間がかかってしまったり、芝居のニュアンスは大丈夫だろうかっていう不安があったりしたので、英語をしゃべれるようになりたいなって思ったことも。
作品を通して女性役で居続けるのも初めてだったので、声量として男性と渡り合おうとするとどうしても声のトーンが落ちてしまったり、元気にパワフルにエネルギーを持って演じようとするとボーイッシュになってしまったりする部分がありました。“あー、なるほど。私にはそういう癖があるんだな”と自覚するきっかけにもなったりしました。
そして、公演中止ということを初めて経験して…。これまで話で聞くだけでもつらかったですけど、本当に実際に体験して、こういう気持ちになるんだって…。知ってだいぶ変わりましたね。
――毎日毎日の公演に対する思いも変わりそうですよね。
明日海:本当に毎日が千秋楽、この役でいられるのは今日で最後なんだというつもりで演じていました。もちろん今までの舞台も一回一回を大切に思ってきましたが、より強くなりました。
――来年は、2003年の初舞台から20年の節目の年となります。
明日海:20年…いろんなことを昨日のことのように思い出したりするんです。宝塚を退団した日、トップになったころ、初めて主演をさせてもらったころ、いろいろ思い出すんですが、すごく忘れちゃっている部分もいっぱいあって。思い返すと、とても濃い20年だったかな。いろんな時があった20年だったなと思います。こんなにいろんなことやってきたんだって。
そうしていろいろ経験してきた到達地点が今なので、もっと今を充実させたいなって思っています。こんなにいろんなことをしてきたのに、今これかって思いたくないので。来年20周年を迎えるときには、“それを経てこうなったよ!”ってちゃんと皆さんにお伝えできて、堂々としていられるように。“お恥ずかしいんですけど、これでも20周年なんです…”っていうんじゃなく、“20周年やってこれました! 皆さんのおかげです!”と言えるように、すべての経験をつなげられたらなと思います。
――戸田恵子さんとW主演を務められるミュージカル『エリザベス・アーデン vs. ヘレナ・ルビンスタイン』など新しい挑戦もありますし、ファンの皆さんも進化しつづける明日海さんを楽しみにしていると思います。
明日海:記念のアニバーサリーイヤーなので、応援していただいているファンの皆さんには、一緒に分かち合っていただけるような機会が持てたらいいなと思ってます!
――20周年のお祝いは、Season3でハワイスペシャルなんてどうでしょうか?(笑)
明日海:うわぁ!!! (プロデューサーに向かって)どうでしょうか?(笑)
(取材・文:編集部 写真:高野広美)
『明日海りおのアトリエ』 Season2は、Huluにて11月24日より独占配信開始。#3以降は毎週土曜、2エピソードずつ配信。全8話。