安田章大、「命はいずれ尽きる」身を持って体験した思いが今を楽しく生きるポジティブさに
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――明治時代初期が舞台の本作で、浮世絵師・刺爪秋斎(サシヅメシュウサイ)を演じられます。
安田:豪さんからは、「こういう浮世絵を描いた人のイメージから今回の物語に着手したんだよね」という絵を見せていただきました。
江戸から明治と時代が変わったタイミングのお話なので、どう生きていったらいいだろう?と時代に翻弄されていくキャラクターなんだろうなと理解しています。そこは、現代の社会ともリンクする部分があるのかなとも思います。コロナ禍があったり、震災があったりと、いろんなものをどんどん失っていく。どう生きていけばいいだろう?と希望を失ったり、向かっていくべき場所がわからなくなる。現代の若い子たちが、なんだかどこに向かっていけばいいのかわからない、やりたいことが見つからないというのと、流れ方は違うんだけれども類似している感じがしました。
――安田さんは、2021年の舞台『リボルバー 〜誰が【ゴッホ】を撃ち抜いたんだ?〜』ではゴッホ役、2023年公開の映画『嘘八百 なにわ夢の陣』では“カリスマ波動アーティスト”役を演じられました。そして、今回は浮世絵師と、アーティスト役を務められることが多い印象があります。そうしたキャラクターを演じる際に、意識されることはありますか?
安田:無感覚なんですよね。ゴッホに関しては、ゴッホという実在した人物がいたので、ゴッホに関する映画も山ほど観て、本もたくさん読んで、背景から思考、もちろん見た目も、ゴッホをとにかくインストールしました。
“カリスマ波動アーティスト”は、“カリスマ波動アーティスト”に会ったことがないので(笑)。監督の武(正晴)さんに寄り添いながら作っていきました。今回は豪さんに寄り添いながら、豪さんがイメージする浮世絵師というものが台本に描かれているはずなので、それを自分の中にインストールすることから始めると思います。
――今回の役どころは当て書きとのことです。
安田:自分のことにあんまり興味がないんで、深掘りも正直しないんですよ。豪さんから見た僕は、浮世絵師にさせたかったのか、そして、痛快コメディだから、そういうものを担わせたかったのかって理解したくらいです。普段は重たいものを背負ってくれと言われることが多いのですが、豪さんはそっちではなく、皆さんの心が和むものを安田にやらせたかったんだなと思いました(笑)。
――共演の皆さんも、個性豊かな皆さんがそろわれました。
安田:作品を観ていていつかご一緒したいとずっと思っていた人衛くんがいたり、一緒にステージに立つのがワクワクするのと同時に、安心して船に乗らせていただきますという気持ちの両方がある皆さんですね。潤花さんは、宝塚を退団されてから初めてステージに立つので、初めての外でのお仕事ってすごく大切で貴重じゃないですか。ファンの皆さんにもめちゃくちゃ楽しんでもらいたいなと思います。のぶえさんともこないだお食事させていただいて楽しかったですし、みんなで大きなエンターテインメントを作れたらいいなと思います。
僕自身は、“全員が座長”という考え方でいつもやっているので、その中でみんなの心持ちを引っ張ってあげられたらいいなと思うし、みんなに毎ステージ楽しかったって思ってもらえることを大事にして作品に向き合えたらいいなと思っています。