<ホラー映画ナビ特別編>まだまだ夏ホラーが大豊作! 空・水中・サバンナ・留守番での恐怖を一挙紹介!
■『ビースト』(2022年/アメリカ)9月9日公開
『ビースト』 (C)2022 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
末期がんで妻を失った医師ネイトは2人の娘を連れ、妻と初めて出会った思い出の地、南アフリカのサバンナを訪れた。狩猟禁止保護区を管理する旧友マーティン(『第9地区』のシャールト・コプリーが好演!)の案内で、広大なサバンナ見学に出かけたネイト一家だが、そこには密猟者の銃弾で愛する群れを奪われ、人間に憎悪の牙をむく凶暴なはぐれ雄ライオンが待ち受けていた。
弱肉強食の大自然、小さな車の中で孤立無援となった家族に、四方から容赦なく襲いかかる巨大な猛獣。息つく間もないスリルの連続、知恵と体力と運を駆使したサバイバル。まさに「シンプル・イズ・ベスト」な設定で押し切る、体験型アクションホラー快作だ。家族を奪われた百獣の王 VS 妻に先立たれ、多感な娘たちの信頼を失いつつある父親。残忍な魔獣と崖っぷち男の満身創痍な全力バトルをノンストップで描くのは、臨場感溢れるサスペンスに定評のある『エベレスト 3D』のバルタザール・コルマウクル。
■『ザ・ディープ・ハウス』(2021年/フランス=ベルギー)9月16日公開
『ザ・ディープ・ハウス』 (C) 2020 -RADAR FILMS –LOGICAL PICTURES –APOLLO FILMS –5656 FILMS. All Rights Reserved.
『ビースト』と同じ探検モノでも、舞台設定をひとヒネリしたのが本作。動画サイトで欧州各地の心霊廃墟探訪を続ける美男美女カップルが、登録者数アップを狙い、伝説の封印物件へのアタックを決意。そこは南フランスの寂しい村にある湖の深い水底に眠る幽霊屋敷。現地で知り合った初老の男に案内され、森の奥に広がる静かな湖に到着した2人は、ソナーつきの4Kドローンカメラを携え、仄暗い水中にダイブする。鎖で厳重に閉ざされた屋敷の扉、水苔だらけの霊廟、なぜか十字架とキリスト像で封印された台所の小部屋。そこに隠されていたのは…。
監督はフレンチホラーの過激作『屋敷女』のジュリアン・モーリーとアレクサンドル・バスティロのコンビ。『ワイルド・スピード』シリーズの最新作『Fast X(原題)』で監督を務めるルイ・レテリエを製作に迎え、主演にミック・ジャガーの息子ジェームズ・ジャガーと、トップモデルのカミーユ・ロウを大抜擢。水中にセットを組んで撮影された、重力無視の不思議な異空間に展開する未体験のパラノーマルショックは酸欠必至。体にまとわりつくような水圧の呪縛、狭い視界に漂ってくる恐怖に身構え、無意識に浅くなる呼吸。これまた体験型心霊ホラーの新境地、深呼吸してトライ!
(文・山崎圭司)