2024年上半期ドラマ 魅力的だった俳優は?
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竹内涼真
2024年4月期にテレビ朝日系で開局65周年記念ドラマとして放送された本作。竹内は、木村拓哉ふんする帝和建設・土木設計部部長・狩山陸を捜査する警視庁刑事部捜査第一課刑事・黒木正興を演じている。
劇中、黒木はサングラスをかけ、不敵な笑みを浮かべながらも、感情を見せずに狩山の身辺を洗う刑事を演じている。物語が進むにつれ、黒木の兄が狩山と共に龍神大橋の建設に携わっていた若松だったことや、事故の裏に隠された事実が明らかになり、黒木の立ち位置も変化を見せる。
竹内と言えば、特撮ドラマ『仮面ライダードライブ』の主人公をはじめ、長期シリーズとなった『君と世界が終わる日に』の主人公・間宮響のような逆境を乗り越えるヒーロー然とした役柄を演じることが多かったが、本作では、ある意味で得体の知れない“曲者”として登場する。
主人公である狩山にとって敵なのか味方なのか分からないという曖昧なキャラクター。こうした立ち位置を演じる俳優というのは、出てくるだけで「悪人!」と分かるキャラクターよりも、しっかりとした演技力が求められる。そんななか、竹内は物語後半まで、攻め過ぎず、引き過ぎず、どちらにもとれるようなさじ加減で視聴者を翻弄(ほんろう)し、作品に奥行きを与える演技を見せてくれた。30代になり、新たな“竹内涼真”を想像させる作品になりそうだ。(文:磯部正和)