元モーニング娘。鞘師里保、「戻って大丈夫なのかな」活動再開への思いと不安
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モーニング娘。のメンバーとして2011年から約5年間活躍していた鞘師里保。2015年12月31日のグループ卒業と共に芸能活動を休止していた彼女が、9月から上演される劇作家・末満健一によるTRUMPシリーズの音楽朗読劇『黒世界 ~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~』(以下、黒世界)で本格的に活動を再開する。一時期の海外留学経験も糧に「喜んでくれる人に何か一つでも形にして届けていきたい」と意気込む彼女に、舞台へかける思いや活動復帰までの道のりで感じた不安、今後の将来像を尋ねた。
【写真】笑顔を見せる鞘師里保 インタビュー撮りおろしカット(11枚)
■前作を演じた当時よりも登場人物に寄り添えるように
鞘師が出演するのは、不死を失った吸血種「ヴァンプ」たちが、永遠の命を持つとされる吸血種「トランプ」の不死伝説に翻弄されていく登場人物たちの姿を描いたTRUMPシリーズの最新作。2014年にモーニング娘。’14ほかハロー!プロジェクトのメンバーが出演した同シリーズのミュージカル『LILIUM-リリウム少女純潔歌劇-』(以下、リリウム)で主人公・リリーを演じた鞘師が、本作でもリリーを続投し主演を務める。
本作が本格的な活動復帰の第一歩となる鞘師は「まずは本当に、舞台への主演という機会をいただけたのが、すごくありがたかったです。モーニング娘。卒業から時間が経っているので、どれほどできるかと不安はあるものの、任せていただいたからにはやり切るしかないと思っています。『リリウム』の続編なので、末満さんをはじめ、前作からお世話になっていたスタッフさんもいて安心感もあります」
リリーを再演するにあたり、「前作を見返しました」と語る鞘師。当時は16歳であったが、22歳となった今、その頃の自分や作品へ対する見方も変わってきたようだ。
「自分自身については、いい意味でも悪い意味でも変わっていないのかなと思ったのも本音で(笑)。でも、演技についてはダメ出ししたくなる部分が多々ありました。振り返ると、とにかくリリーを演じ切ることに対して『頑張ろう』と思う気持ちが強くて、物語や彼女の切なさを今ほど感じられていなかったような気もするんです。
前作を見返してみたら、リリーや他の登場人物たちの生き様に以前よりも入り込めたといいますか、物語を見ながら純粋に泣いてしまって…。時間も経って自分に余裕が生まれてきたのかなとも思います」
■不老不死の主人公・リリーの役作りに自身の成長を重ねるべきか
グループ卒業から本作への出演までは約5年。その間にあった自分自身の成長を、前作に続いて演じる主人公・リリーの役作りに活かすかどうか、本番に向けて試行錯誤している最中だという。
「8月の下旬から歌稽古が始まりましたが、その前から、前作『リリウム』で共演して歌唱指導も担当してくださっていた新良エツ子さんと、自主的にリモートで台本の読み合わせをしていました。物語としては、リリーが前作からのトラウマや後悔を引きずりながら、旅をしているんだなと感じる箇所もあります。
彼女自身は不老不死ではあるけど、周囲の時間は常に流れているんですよね。年齢は変わらないながらも、その中でたくさんの経験をしながら中身は変わっていて、他の登場人物たちよりも何百倍と生きているからこそ、人生を悟っている部分もあるのかなと思っていて。私自身も、グループ卒業からおよそ5年分の年齢を重ねていますが、そこをイコールとするべきかは模索しているので、舞台上でどう表現されているのかは楽しみにしていてほしいです」
ハロプロメンバーの一人として出演していた前作とは異なり、単身でたくさんの共演者と共に作品を作り上げる本作。そんな環境の違いについても、思いを巡らせる。
「初めに共演者のお名前を拝見したときは、ちょっとビックリしちゃって。複数の芸能事務所の方々が集まる現場自体に慣れていないし、有名な方ばかりで気持ち的に『ワ〜ッ!』となりました。ただ、深くは考えないようにしようとも思っています。作品としては、新良さんと共に前作『リリウム』から参加しているのは自分たちだけなので、自信を持とうと自分に暗示をかけました(笑)」