桜田ひより17歳、“反抗期”から女優としての成長
第50作でも「くるまや」の裏手にある昔のままの居間にみなが集まるシーンは健在。どこか懐かしさを覚えるが、そうした家族と過ごす空間・時間は、平成生まれの桜田にとっても違和感がないという。
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』より (C)2019松竹株式会社
「今も実家に住んでいますが、ご飯はみんなで集まって食べますし、犬がいるのでリビングで一緒に遊ぶことも多いです。家族がいる空間というのは、私にとって自然なことで、普段から家族とは仲良しです。母には何でも話しますし、父とは嗜好(しこう)が合うので、一緒に洋服を買いに行ったりします。兄は一番の友達で、2人でディズニーランドに出かけることもあります」とかなりの仲良しっぷり。だが、数年前までは違っていたのだとか。
「私も兄も反抗期で、バチバチしてました。高校生になって落ち着いたのかな」と苦笑い。さらに今にして考えると、こんな影響もあったと思い返した。
「中学生くらいのとき、反抗期の役が多かったんです。家に帰ってからも引きずっていた部分もあって、親に当たることもあったのだと思います。今は役柄的にも反抗期というものはなくなってきていますし、仕事とプライベートのスイッチをきちんと切り替えられるようになったので、そういった影響もありません」。
影響が出たのも、それだけ女優業にまっすぐに打ち込んでいるからだろう。もともと5歳の頃に見たドラマの影響から、「女優になりたい」と思ったという桜田。今でもその思いにブレはない。
「女優としてお仕事していくことを悩んだことはないです。むしろ年齢的にもやれることがどんどん増えているので、楽しくて仕方ないです。周りから刺激を受けることが好きなので、今回のように大先輩の方々とお仕事をしたり、事務所に入ったばかりの人たちと一緒にレッスンを受けたりしても刺激を受けます。本当にいい環境にいさせていただいていると思います」と話す。
今回の『男はつらいよ』でも収穫があった。「きっちり動きが決まっているお芝居をしたのは初めてでした。たとえば、朝、お父さんを起こしに行くところでは、カーテンの開け方から、どこで止まって、落ちてるCDを拾って、こちら向きで振り返ってといったことがすべて決まっているんです。テストでどんどん変わってはいきますが、本番に向けてすべての動きがきっちり決まっていく。とても新鮮でした」。そして出来上がりを見て、感動したという。
「ひとつひとつの動きがすごくキレイだと感じたんです。『こういうことなんだ!』と改めて感じました」。いま、お芝居が楽しくて仕方がないといった様子の桜田。「とにかくいろいろなことにチャレンジしたい」と、17歳の瞳を輝かせていた。(取材・文:望月ふみ 写真:松林満美)
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』は12月27日より全国公開。