松本穂香の上京物語 「東京で頑張るしかない」必死にもがき続けた日々
昨年、『この世界の片隅に』(TBS系)でドラマ初主演を果たした松本穂香。今年は『おいしい家族』で映画初主演を飾るや、立て続けに主演を務めた『わたしは光をにぎっている』が公開を迎える。さらには来年も『酔うと化け物になる父がつらい』(3月6日公開)、『みをつくし料理帖』(秋公開)とすでに2つの主演作が控えている。2015年のデビュー以降、順調にキャリアを積む松本が、田舎から上京し、人々と触れ合うことで成長していく『わたしは光をにぎっている』のヒロインの澪に重ね、「爪痕を残したかった」と奮闘していた自身の上京当時を振り返った。
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◇女優のために大阪から東京へ「選択肢はなかった」
両親の他界後、2人で暮らしてきた祖母の入院に伴い、父の友人を頼って東京へと出てきた澪。演じた松本は、高校時代に事務所に所属し、卒業後、自らの意思でそれまで暮らした大阪から上京したが、「東京に来るしかなかったという点では、私も澪も同じです」と話す。松本が「ここしか選択肢がなかった。東京で頑張るしかないと思った」というのは、女優という夢があったからだ。
上京当初には、アルバイトをしていた時期もあった。「登録して、単発のアルバイトをやっていました。でも割と早い段階で、事務所の方とも話して女優業に専念しようとなったんです。それでワークショップをたくさん受けたり、オーディションを受けたりしていきました」と夢のために、必死になった。
『わたしは光をにぎっている』で演じた澪は、自分と重なる部分があるという(C)2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema
「とにかく“爪痕を残そう”と思っていました。どんなに小さな役であっても、2つ3つしかセリフのない役でも、自分の中で役を広げて、テストの段階から、120%の力を出してやりました。ほかの同年代の子が100でやるなら私は120でやらなくちゃ、と。普段の私は大人しいほうですし、絶対に恥ずかしくてできないことでも、勇気を振り絞ってぶつかっていきました」。
◇「ほかにいない存在になりたい」
そうして“爪痕を残す”うちに2017年には連続テレビ小説『ひよっこ』の青天目澄子役に抜てき。“メガネっ娘”として注目を集め、一気に認知度を上げた。
「一歩踏み出すことをやってきたのは、大きかったのかなと思います。デビューしたての頃は特に、脚本にないことをやったりもしていました。勇気がいりましたし、怖くもありましたが、一歩出てみたことで、『おもしろいね』『いいね』と認められたりして、自信につながりました」。
おっとりして見えるが、内に秘める意思は強い。
「同世代の女優さんたちを見て、『キレイだな』『かわいいな』と憧れることはもちろんあります。でも私は私ですし、ほかにいない存在になりたいとずっと思ってきました。最近は、実際に『同世代にいないタイプだね』と言っていただくこともあって、それは違う存在になりたいと“思い続けてきた”のも大きいのかなと感じています」と穏やかにほほ笑む。