ホラー畑出身の『シャザム!』監督、新たな挑戦は「夢のようだった」
アメコミ史上初となる、“ダサかわ”ヒーローの活躍を描くDC映画最新作『シャザム!』。メガホンを取るは、長編デビュー作『ライト/オフ』、2作目『アナベル 死霊人形の誕生』を立て続けにヒットさせたスウェーデン出身のデヴィッド・F・サンドバーグ監督だ。ホラーからスーパーヒーロー映画へ――。キャリアの新たな1ページを築いた監督に、ビッグバジェット作品を手掛けた感想や、製作の背景を聞いた。
【写真】『シャザム!』メイキングカット&場面写真
ある日突然スーパーパワーをゲットし、見た目はオトナ、中身はコドモのシャザムに変身できるようになった主人公ビリーの活躍をユーモラスに描く本作。
もともとアメコミやヒーロー映画が好きだというデヴィッド監督は、本作のオファーを受けたときのことを、「ホラー映画しか手掛けていなかった自分のところにこのような企画が来るなんて、夢のようだった」と振り返る。製作はストーリーをイチから作るところから始まり、「スタジオと脚本家と週1ペースでストーリー打ちみたいなのを繰り返していく作業はとても楽しかった。コラボレーションもすごく密だったしね」と新たな挑戦の感想を明かす。
映画『シャザム!』メイキングカット(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
前作の『アナベル 死霊人形の誕生』に比べると、予算も作品の規模も格段にアップしたが、一番の大きな違いを尋ねると「VFX」と即答。「以前の作品であれば、最悪自分でできる範囲のものだったけど、今回はさらに大規模で、学ぶ必要もあったし、自由もあった。自分がいいと思ったVFXショットをほかの人が形にしてくれるわけだからね。それが一番の挑戦だったんだ」と語る。続けて、「観ていて本当に凄い! と思うカットほど、実際の制作状況は淡々としていて、いかに面白みがないものかということを学んだよ」と監督。飛行シーンでは役者を複雑なリングにはめて、何度も飛行の練習を重ね、毎日少しずつ撮影するという作業を行ったそう。「こうした作業のおかげで素晴らしいショットが生まれるんだけどね」と語った。
長編デビュー作『ライト/オフ』では、シンプルな設定とショッカー描写でホラーファンを魅了しつつ、精神を病んだ母親を取り巻く家族のドラマも丁寧に描いた。シリーズものの監督を任された『アナベル 死霊人形の誕生』では、精度の高いクラシックな恐怖描写を連発し、その能力の高さでファンをうならせた。これらの経験と姿勢は、全くテイストの異なる本作へとどうつながったのか。