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“『サスペリア』の全てを自分の肉体にしたい” 監督が語るオリジナルへの狂愛と再構築

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ルカ・グァダニーノ監督、『サスペリア』インタビュー
ルカ・グァダニーノ監督、『サスペリア』インタビュー クランクイン

 17歳の少年と24歳の青年が織りなすひと夏の恋を描いたラブストーリー『君の名前で僕を呼んで』で、昨年、大きな話題を呼んだイタリアの名匠ルカ・グァダニーノ監督。次回作に注目が集まるなか、彼が選択したのは、なんとカルトホラーの金字塔『サスペリア』のリメイクだった。この極端な振り幅に驚いた映画ファンも多いと思うが、彼はなぜ、今、このタイミングで、ここに行き着いたのか? 来日中のルカ監督本人にその真意を聞いた。

【写真】ルカ・グァダニーノ監督によって再構築された『サスペリア』場面写真

 本作は、1977年に製作された鬼才ダリオ・アルジェント監督の伝説的ホラーをルカ監督が再構築した衝撃作。70年代のドイツ・ベルリンを舞台に、ダンサーたちが次々と行方不明となる名門舞踊団に隠された秘密に肉迫する主人公の姿を描く。『フィフティ・シェイズ』シリーズのダコタ・ジョンソンが主人公スージー役を務めるほか、『フィクサー』のティルダ・スウィントン、『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツ、さらにはアルジェント監督版でスージーを演じたジェシカ・ハーパーらが出演。音楽は、「ホラーを煽るだけの音楽は作らない」ことを条件に、ルカ監督自らが口説き落としたレディオヘッドのトム・ヨークが担当。その初劇伴とは思えないおぞましくも官能的なメロディは、前作で伝説的なサウンドを生み出したプログレッシブバンド・ゴブリンにはない新たな世界観を醸し出している。

●『サスペリア』への人喰い的な愛
 10歳のとき、サマーキャンプで訪れた北イタリアの映画館で『サスペリア』のポスターを目撃し、「その強烈なヴィジュアルからイメージがどんどん広がっていった」というルカ監督。そして3年後、国営テレビで同作が放送されることを知った彼は、1人で部屋にこもり、鍵をかけ、その作品の世界に酔いしれた。「剥き出しの狂気、ゴブリンのかつてない異様な音楽、魔女という概念が持つ魅惑的な力…私は恐怖に怯えながらも気持ちが高揚するのを感じた。“もっとこの作品を詳しく知りたい”という思いから図書館に通い詰め、夢中になって公開当時の新聞記事を読み漁った」。


ルカ・グァダニーノ監督

 ルカ少年を狂喜乱舞させた『サスペリア』は、やがて映画作家となる彼に大きな影響を与えた1作であることは間違いない。だが、そこまで作品に惚れ込むと、通常は自身の大切な宝物として胸に刻み、その聖域には決して足を踏み入れないもの。なぜ“リメイク”という発想が生まれたのか?「それは、カニバリズム(人喰い)的な愛と言えるかもしれない。昔、自分が求めている人を愛するがあまりに食べてしまう男の話を本で読んだことがあるが、私はその内容に激しく動揺しながらも、“愛”というものが何なのかを同時に教えられた。もちろん私は人喰い人種ではないけれど(笑)、『サスペリア』に関しては、その全てを自分の肉体にしてしまいたいという愛が強かったのだと思う」。

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