三浦春馬、子役特有のネガティブを克服 俳優は一生続けるか「分かんない」
それが経験を重ねるうち、いつのころからか「言わないのは自分に嘘をつくことだ」と思うようになった。「劣等感だらけで自信もない。だけど、それで『人に迷惑を掛ける』と思って何もしないんじゃなくて、素直に頼ったり、意見を聞いたり。そういうストレートなコミュニケーションが、自分の未来をオープンにしてくれると思うんですよね」。
本作の主人公である鹿野さんは、夢や欲望に素直に生き抜いた人。現在28歳の三浦が全身全霊を懸ける「俳優」という仕事は、三浦にとって“夢”でもあるのだろうか。
「僕にとって芝居や表現することは、自分を出していくこと。夢というより自己実現の場なので、仕事がなくなると具合が悪くなると思います(笑)。今は素晴らしいフィールドを用意していただいているので、そこで自分が納得する表現をして、誰かに喜んでもらうことを目指して日々を過ごしています。でも、いつかは想像を超えたい。みんなの想像だけじゃなく、自分の想像も」。
といっても、一生やり続けるのかと問うと、「分かんないんだよね」という素直な答えが。「『60、70歳までやってると思います』と言っていた瞬間もあったかもしれないけど、こればっかりはね。もしかしたら演技指導をしてるかもしれないし、もう一切表には出ないで裏の人になってるかもしれない」と、どこか達観した表情で語る。
「でも、ひとまず30代も楽しみな仕事は待っているし、そこに向けてやっていきたい」と語る表情は力強い。自分の弱い部分を受け入れて、葛藤しながらも “今”に全力で挑む、そんな彼だから多くの人を魅了するのかもしれない。(取材・文・写真:高山美穂)
映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』は12月28日より全国公開。