寛一郎、「挫折も覚悟の上」父・佐藤浩市と同じ“役者”としての一歩
ところで、本作は、「一歩踏み出す勇気」が、大きなテーマとなっているが、寛一郎自身は、役者という茨の道を踏み出したばかり。「実は僕、一度も挫折をしたことがないんです。なぜなら、今まで何もチャレンジして来なかったから。田崎のように挫折感を味わうほど、何かに没頭できる人がずっと羨ましかった」と吐露。そんな寛一郎が、一念発起して役者を目指したのはなぜか?「やはり、父が俳優ですから、一番身近な職業でしたし、いつも心のどこかで意識はしていたんだと思います」と自己分析。
さらに、幼いときから映画に溢れた家庭環境だったという寛一郎は、「とくに父の作品は母親と一緒に半強制的に観せられますから(笑)。とにかく映画が文化として僕の心に深く根付いていたことが一番大きい。映画って凄い、俳優の力って凄い、そういう思いが年々強くなると、結局、父の存在に直結していくわけですが、語らずとも背中で見せてくれたという意味では、改めて“でかい背中だなぁ”って思いますね」。
役者という仕事の厳しさを目の当たりにしていたため、決断するまでにかなりの時間を要したそうだが、「思い切って踏み出してみると、確かに苦しいことばかりですが、自分が絶対できないことを“役”を通して演じられる“面白さ”を知ってから、チャレンジ精神が止まらない」という寛一郎。「夢中になれるものを見つけた分、これからたくさん挫折も味わうんでしょうが覚悟の上。今はもっともっと映画に出たい!そんな意欲でみなぎっています」と目を輝かせていた。(取材・文・写真:坂田正樹)
映画『心が叫びたがってるんだ。』は7月22日より全国公開。