オスカー俳優エディ・レッドメイン、愛とは「ふたつの魂の出会い」
パイオニアであったリリーを見つめると同時に、本作はリリーとゲルダ、ふたりの愛を綴る物語でもある。真のリリーになることは、ゲルダにとっては夫アイナーが消失すること。手放しで支えられたわけではない。「夫を返してほしい」とゲルダが訴えるシーンが胸に焼きつく。
「きついシーンだったね。ロスで出会ったトランジションした女性とパートナーの女性のカップルがいたのだけれど、トランジションした女性が、何もかもをかけてあるがままの自分としての人生を選んだと言っていた。トランジションすることは、本物の自分を見つける個の体験。であると同時に、彼女はパートナーの思いやりの深さについても口にした。つまり個の体験でありながら、パートナーとの絆を知る体験でもあったと。脚本の最初にこの2点を書き留めて、撮影に臨んだよ。そのことを考えるうえでも、非常にタフなシーンだった」。
真摯なまなざしで語り続けたエディ。最後に言い表したのは愛についてだった。「僕にとって愛というのは、肉体やセクシャルティ、ジェンダーではない。この物語でも、ふたつの魂が出会ったのだと思っているよ」。(取材・文・写真:望月ふみ)
『リリーのすべて』は3月18日より全国ロードショー。