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『いいとも!』は「天才バカボン」!?  タモリの発言から探る長寿番組の秘訣

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 もともと、タモリは漫画家・赤塚不二夫邸に居候をしながら援助を受けていた。赤塚とその周囲の仲間たちのムチャぶりリクエストを言われるままに応じたタモリは、そこから密室芸を生み出した。この芸に呼応した仲間たちは、タモリをテレビ局に売り込み、デビューまでこぎつけた。
「『いいとも』でも周りのリクエストに応じてやっていったら国民的番組ができてしまったんです」と戸部田氏。

 「私もあなたの数多くの作品の一つです」。これはタモリが赤塚に向けた弔辞の有名な一節だ。赤塚の代表的作品といえば『天才バカボン』。目玉がつながっている本官さんや毎日掃除しているレレレのおじさんなど「一風かわった友だち」らとバカボン家族が織りなすナンセンスギャグ漫画だ。

 本作の主人公であるバカボンパパの口癖は「これでいいのだ」。この言葉についてタモリは「すべての出来事、存在をあるがままに、前向きに肯定し、受け入れること」と弔辞で定義している。

 「『これでいいのだ』は赤塚不二夫さんの考え方であると同時にタモリさんそのものでもあるんです」と戸部田氏は解釈する。

 以前、タモリは小沢健二『さよならなんて云えないよ』の歌詞について、このように感想を述べていた。「あれ凄いよね。“左へカーブを曲がると、光る海が見えてくる。僕は思う、この瞬間は続くと、いつまでも”って。俺、人生をあそこまで肯定できないもん」。このコメントについて戸部田氏は「タモリさんは過去や将来を肯定しきれないからこそ、“今”を肯定することを選びました。現状をありのままに『これでいいのだ』と肯定する生き方です」と解説している。

 『天才バカボン』のある回では、バカボンパパが自動車のセールスマンに「鬼ごっこしたら車を買ってあげよう」と宣言し、本気で鬼ごっこを始める。他の回では、近所の猫を仲間たちと「お前は犬だ」と信じ込ませる。バカボンパパは「一風かわった友だち」らにいたずらを仕掛けつつ、面白いと思ったらとことんイジる。そして一緒に、とことん楽しむ。これは『笑っていいとも!』の構造に相似している。

 赤塚不二夫公認サイト『これでいいのだ』では、このように綴られている。「赤塚センセイは『天才バカボン』を毎回が最終回のつもりで全力投球で描いていました」。タモリも同じような気持ちで「笑っていいとも!」に取り組んでいたのではないか。「これでいいのだ」と“今”をとことん肯定する。これがタモリ流の長寿番組の秘訣だったのではないだろうか。(取材・文:梶原誠司)

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