『BG』ヒロイン役でも話題! 作品に癒しとスパイスを与える、女優・市川実日子の魅力
◆石原さとみとの“友情”が光った『アンナチュラル』
ドラマでは2018年放送の『アンナチュラル』(TBS系)も記憶に新しい。同作は、石原さとみが主演を務めた、法医解剖医の活躍を描いた作品。『逃げるは恥だが役に立つ』や『MIU404』の野木亜紀子が脚本を務め、米津玄師による主題歌「Lemon」が大ヒットしたことも話題になった。本作で市川が演じたのは、石原演じる三澄ミコトの同僚で臨床検査技師の東海林夕子。ドラマの随所に登場するミコトとのやりとりが、シビアな展開が多い同作での癒しにもなり、ホッと一息をつける貴重なシーンとなった。
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◆生真面目さゆえの生きづらさをリアルに表現した『凪のお暇』
また、2019年に放送されたドラマ『凪のお暇』(TBS系)では、黒木華が演じる主人公・大島凪の初めての親友・坂本龍子を好演。怪しげな「石のブレスレット」を本気で信じていたり、大学時代の先輩に勧められてブラック企業で働き出したりと、危ういながらも生真面目に人生を歩もうとする姿を見事に演じきり、物語の重要なファクターとなった。
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◆『シン・ゴジラ』尾頭ヒロミ役はSNSでも話題に
『シン・ゴジラ』ではクールな尾頭ヒロミがハマり役に 写真提供:AFLO
一方、映画作品では、2016年公開の『シン・ゴジラ』の尾頭ヒロミ役での演技が光っていた。同作は、ゴジラシリーズの第29作目にあたる作品で、総監督・脚本を庵野秀明が務めたことでも注目を集めた。市川演じる尾頭は、環境省自然環境局野生生物課長補佐という役どころで、ゴジラを凍結させるべく奔走する。無表情でクールさを崩さない尾頭が、ラストに笑顔を見せたシーンは強く印象に残る。同作では、第71回毎日映画コンクール女優助演賞と第40回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を獲得した。
こうしてみると、市川が演じる役柄は非常に幅広く、また、物語のスパイスや癒しとして登場するときにその魅力を強く放つことが分かる。市川は、それぞれの役の詳しい背景が物語中に提示されていなくても、奥行きを感じさせる人物に仕上げることができる稀有な存在。だからこそ、彼女が登場することで、物語がグッと深みを増すのだ。
野木亜紀子が脚本を担当し小栗旬と星野源が共演する映画『罪の声』が今秋公開予定など、出演予定が続々と控えている市川。今後の活躍からも目が離せない。(文:嶋田真己)