【第2回】宮本和奏の“好きなもの” 映画『サイレントラブ』憧れを抱く運命的な出会い
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■“愛”を伝えるのは“言葉”だけではない
そんなある日、美夏は障害を負ってから自分に着けていた鈴を落としてしまいました。ですが、この鈴が美夏と蒼を最後の最後まで繋げるものとなるのです。
言葉や目で見て相手の気持ちを知ったり会話したり、どんな人なのか知って繋がっていくのではなく、物や心で人と繋がれるというのはこの映画の予告でもあった“世界でいちばん静かなラブストーリー”というのにも繋がっているのかなと感じてとても素敵だなと思いました。
そういえば、小学校の頃に友達と交換日記をしていたなぁと何だか急に思い出しました。これとは少し違うかもしれないですが、交換日記もノートを通して友達と内側からも繋がっているような感覚がして読むのを凄く楽しんでいたなぁと懐かしく感じました。
美夏は毎週同じ時間に、大学にある小屋にやってきます。そこでは彼女だけのピアノの世界が作り上げられるのです。もちろん素敵な演奏ではありますが、その中には自分の絶望感や苦しみが表現されているようにも感じました。
彼女の演奏を窓際から密かに聞いている蒼。いつの間にかそれが彼の中で大切な時間になっているように思いました。言葉を発することが出来なくても、このシーンからも蒼の真っ直ぐで実は誠実な一面が見えた気がして、蒼演じる山田さんのお芝居が本当に凄いなと思いました。内容ももちろんですが、言葉を発することの出来ない山田さんがどう演じるのかお芝居自体も楽しみにしていたのでとても勉強になりました。
鈴で繋がりそこから距離を縮める2人でしたが、ある日蒼は美夏に「ピアノを聴かせて欲しい」とお願いをされました。当然、蒼はピアノを弾くことができません。そんな中美夏の願いに応えるべく蒼は、音楽家の息子であり、美夏の通う大学の講師である北村悠真に「ピアノを弾いてほしい」というお願いをしました。北村は裕福そうに見えますが、裏カジノをして借金をしたりろくでもない人間でした。彼の外側は悪い人に見えるけれど本当は悪くも、ろくでもない人間ではなくてとても孤独のような寂しい人のように感じました。私自身も裕福である人に憧れを持つ瞬間があるときもありますが、裕福な人=幸せな人。では無いのかもしれないということを北村からは思わせられました。最初は本当に意地悪な人で少しイラッときてしまった場面もあったのですが、彼自身も蒼や美夏と出会ってから少しづつ変わっていきました。
そんなある日、3人を襲う最大の事件がまっていました。やっと、3人の関係性が出来てきたのに。なんで今こんなことが起きてしまうの、、。と胸がとても痛くなり辛かったです。ですが、このシーンからはどんな形であれ、蒼の美夏への強い想いが特に伝わってきました。その事件以来会わなくなってしまった蒼と美夏。それぞれがそれぞれの人生をまた新たに歩み始めました。ここから2人は再会できるのか。どう変わっていくのか。美夏の夢は叶えられるのか。是非皆さんには劇場へ観に行ってほしいです。
最後に、このサイレントラブからは、蒼の声が出せないながらも自分の体と行動で自分なりに彼女の夢を叶えてあげたい。守りたいという美夏への愛が本当に伝わってきました。愛す、愛される、というのは言葉で伝えられるから実感したりすることもあるし、そういう愛の感じ方も憧れたりもしますが、“愛”を伝えるのは“言葉”だけではないだけではないということを強く感じました。
映画が終わったあと、母も私も愛されるに正解は無いけどこういう愛され方も素敵だね。とふたりで話していました。帰りはお父さんとも合流して3人でご飯を食べて帰りました!お腹すいていたからいつもの倍美味しかったです! とても充実とした休日を過ごせました!
文:宮本和奏
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