二階堂ふみ、「平和とどう向き合って生きるべきか」戦時下の主人公を演じて
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8月8日公開の映画『この国の空』の公開記念トークイベントが6日、都内にて行われ、キャストの二階堂ふみ、工藤夕貴が登壇、本作への思いを打ち明けた。また東京大空襲で家族6人を亡くし、戦争で悲しい思いをした作家の海老名香葉子もゲストとして登場。作品の印象などを率直に語った。
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芥川賞作家・高井有一の同名小説を映画化した本作は、昭和20年の終戦間近の東京を舞台に、戦時下の激しい空襲と飢餓が迫る恐怖のなかで懸命に生きる人々を丹念に描いた人間ドラマ。里子(二階堂)は、困窮する生活のなか、妻子ある男・市毛(長谷川博己)との許されぬ恋に突き進んでいく…。
二階堂は撮影に入るにあたり「中学生の時に茨木のり子先生の『わたしが一番きれいだったとき』を読んで、これが戦争というものなんだなと実感したのですが、今回脚本を読み、それに近い感覚でした」と語る。また「日本語が綺麗な作品だったので、それを引き立たせたいなと思いました。現代のしゃべり方だと違和感が出てしまうので、里子のキャラクターの言葉に重みを持たせるために、口調や仕草を作り込みたいと思いました」と役づくりについても明かす。
沖縄出身の二階堂は当時の女性の話し方について最初とまどったよう。「東京弁に触れるのは作品からしかできなくて、小津安二郎監督の作品などを観てしゃべり方などを研究しました」とも。
この日は広島に原爆が投下されて70年目の日。「戦争を起こさないために平和とどう向き合って生きるべきか、それを忘れないためにどういう気持ちを持って生きるべきかを考えています」と話す二階堂だった。
海老名は本作を観て、「戦争映画というより文芸作品のように感じました。里子さん(二階堂)は本当に力演されていました」とその芝居に感心する。その一方で「里子さんが(市毛と)結ばれるシーンは観ていて不快でした」とバッサリ。「あの時代の日本女性はああいうことはなかった。もっと国を愛する、人を愛するという要素が出ていれば」とその時代を生きた女性ならではの本音ものぞかせた。最後に工藤は「観終わったあとに、感じるものがある作品です」とアピールした。