イギリスの名優クリストファー・リーが現地時間7日早朝、死去したことが明らかになった。呼吸器系と心臓の疾患の治療で入院していたチェルシー・ウェストミンスター病院で亡くなったという。享年93歳。The TelegraphやThe Guardianなどの海外メディアが報じた。

　1922年生まれのクリストファーは1948年に『Corridor of Mirrors（原題）』で映画デビュー。その後、1958年の映画『吸血鬼ドラキュラ』や『凶人ドラキュラ』（66）､『帰ってきたドラキュラ』（69）など、数々のドラキュラ映画でタイトルロールを演じ、「ホラーの達人」の称号を手にした。近年では『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』シリーズのサルマン役や、『スター・ウォーズ』シリーズのドゥークー伯爵役でファンを魅了した。

　『007』シリーズの原作者イアン・フレミングのいとこでもあるクリストファー。映画『007／黄金銃を持つ男』（74）では、ジェームズ・ボンドと対決する殺し屋スカラマンガを熱演。代表作はほかに、世界征服を企む東洋人を演じた『怪人フー・マンチュー』シリーズなどがある。また、その名演で映画ファンのみならず、多くの監督や共演者､映画製作者に影響を与えたクリストファーだったが、ヘヴィメタル・ファンとしても有名で、シンガーとして4枚のヘヴィメタル・アルバムを発表している。

　クリストファーの訃報は、多数の著名人に衝撃を与えている。ピーター・ジャクソン監督は自身の公式フェイスブックに長文の声明を掲載。「私は幸運にも5作の映画でクリストファーと仕事することができました。セットにいる彼を何度見ても興奮は冷めませんでした」と故人を偲んだ。

　『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで共演したイライジャ・ウッドは自身のツイッターに「偉大な人物で人生の先輩サー・クリストファー・リー。あなたはアイコン。伝説の尽きない非凡な人だ。寂しくなります」と綴った。

　ジョージ・ルーカスは「クリストファーは昔気質の偉大なイギリス人俳優でした。映画の過去とは切っても切り離せない人物で真の紳士でした。寂しくなります」と声明を発表している。『007／黄金銃を持つ男』の共演者ロジャー・ムーアは「旧友の死はやるせないが、クリストファー・リーは私の最も古い友人の1人だった。私たちの最初の出会いは1948年だった」とツイートした。

　ほか、小説家スティーヴン・キングやティム・バートン監督、女優クロエ・モレッツ、俳優ジェームズ・フランコ、歌手ボーイ・ジョージ、プロデューサー／俳優マーク・ゲイティスなど、多くの著名人がクリストファーの死を惜しんだ。