眞栄田郷敦、絵の猛特訓で思わぬ問題発生? 映画『ブルーピリオド』美術室シーン撮影現場レポート
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眞栄田郷敦が主演する映画『ブルーピリオド』より、美術室シーンの現場取材リポートが解禁された。
【写真】中性的魅力出すため8キロ減量 “ユカちゃん”高橋文哉の出演シーン
本作は、山口つばさの同名漫画を萩原健太郎監督で実写映画化。
2023年6月下旬、矢口八虎(眞栄田)、ユカちゃん/鮎川龍二(高橋文哉)、佐伯昌子(薬師丸ひろ子)が美術室で正対するシーンの撮影が、都内の廃校を利用して行われた。
授業で描くことになった1枚の絵をきっかけに絵を描くことの楽しさに目覚めた八虎は、倍率200倍ともいわれる最難関の国公立・東京藝術大学の存在を知る。八虎は藝大を第一志望として、美大受験に挑戦することを決意。物語が大きく動く起点となる重要な場面だ。
「単なるコスプレにはしたくない」という製作陣の強い思いから念入りな衣装合わせを経て生まれた八虎の制服姿のビジュアルは、原作の単なるトレースを超えて実在感たっぷり。脱色したかのような髪色のヘアスタイルはウィッグとは思えぬ見た目と質感に。八虎の目の前にたたずむのは、美術部顧問・佐伯昌子役の薬師丸。モニターをのぞく萩原監督も思わず「ずっとこうだったかのように自然…」とうなるほど、ナチュラルなオーラを放っている。
一方、眞栄田は八虎の心の揺れ動きを動作でも表すべく、ズボンのポケットに手を入れたり、セリフのどの時点で薬師丸に近づくのがベストなのかを探ったり。萩原監督と入念なディスカッションを重ねて撮影本番に臨んだ。真剣なまなざしの寄りのショットを撮り終えた眞栄田。モニターで確認する萩原監督に「僕、藝大目指しそうですか?」と聞くと「うん、受かりそう」と満面の笑みで萩原監督が答えるなど、緊張感ある撮影の中にも適度な緩和があり、それぞれの充実ぶりがうかがえた。
そんな2人を見守りつつ、美術室で自身の導線と入りのタイミングを確認しているのはユカちゃん役の高橋。高橋は龍二の中性的な魅力を表すために約8キロの減量に挑戦しており、学ランとセーラー服をジョイントしたかのような個性的な制服は、原作のデザインを参考に高橋の体形にフィットする形で縫製されたという。
製作陣が「クランクインしたばかりということもあるし、八虎とユカちゃんという相対するキャラクター性もあって、お2人はあえて距離を詰め過ぎないようにしている雰囲気がある。先々の撮影に向けて緊張感を高めているようだ」と指摘するように、カメラの外で眞栄田と高橋がベタベタと慣れ合う様子は皆無。小休憩の時間になると、眞栄田は楽屋を離れてフラッと美術室へ。教室全体を見渡せる教卓にもたれながら口笛を吹く。おのおのが自分のペースで撮影という時間を無理なく共有している。そんな様子がうかがえる印象的な姿だった。
「代役ではやらない」という製作陣の意向を受けて、キャスト陣はクランクイン前から絵の練習をスタートさせた。2022年末から新宿美術学院(現・ena美術)の講師・海老澤功氏のもとで基礎から絵を学んだ眞栄田は、海老澤氏から「八虎のように受験すれば合格するぐらいの力はある」と太鼓判を押されるほどめきめきと上達。
だがエキストラの生徒も交えて美術室で八虎たちがキャンバスに向き合うシーンの撮影では、そんな持ち前のセンスが思わぬ壁に。絵を描き始めて間もない八虎の様子をとらえるカットでは、鉛筆を握る眞栄田の手元や画用紙に向かう姿勢が絵を描き慣れている人のように見えすぎるという問題が発生。静物画のデッサンに向き合う眞栄田の鋭い視線に対して萩原監督は「目線からして絵が上手そうだな…」と苦笑いで、撮影に帯同する海老澤氏も「一度絵を描くことに慣れてしまうと、下手に描くことが逆に難しくなる」と悩ましそう。
眞栄田もモニターの前に現れて、絵を描く自分の所作を確認しながら、海老澤氏と「どうすれば素人っぽく見えるか」を相談。鉛筆の持ち方を直角に変えたり、海老澤氏から「絵を見るのではなく描くことに集中するような様子で」とのアドバイスがあったりしながら、ショットやカットが丁寧に積み重ねられていった。
機材準備を待つ間、眞栄田はごく当たり前のように鉛筆をカッターの刃で削る。画材一式は小道具でありながらも、キャスト陣にとっては大切な相棒でもあるかのような愛着がすでに生まれている。
映画『ブルーピリオド』は、8月9日より全国公開。