「第46回日本アカデミー賞授賞式」が10日、都内で開催され、『ケイコ 目を澄ませて』の岸井ゆきのが最優秀主演女優賞を受賞。岸井は目を潤ませ、言葉を詰まらせながら「身に余る賞をありがとうございます。三宅組でなかったら、誰一人欠けてもここに立てませんでした。また支えてくれた関係者、原案となった小笠原恵子さんに感謝します」とチームへの感謝を述べた。

　『ケイコ 目を澄ませて』は、聴覚障害と向き合いながら実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんをモデルに、彼女の生き方に着想を得て、『きみの鳥はうたえる』の三宅唱監督が新たに生み出した物語。

　岸井は、数ヵ月に渡る厳しいトレーニングを重ね、ケイコという主人公を、ボクサーとしての存在感を圧倒的な表現力で演じた。これまで、第77回毎日映画コンクール女優主演賞、第96回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞など、数々の映画賞を受賞していたが、日本アカデミー賞でも最優秀主演女優賞を獲得した。

　岸井は「私は映画が大好きなんです。映画を観ることが大好きで、映画を観ているときは、何語でもしゃべるし、どこへでもいける」と映画の魅力を語ると「30年も40年も前の映画を初めて観たときに『あーこれを観るために今までがあったんだな』って思うことがあって。まだ出会う前の誰かのために生きることができるのかなと思ったり――」と俳優としての意義を述べる。

　とにかくあふれる思いに目を潤ませた岸井。スピーチ中も「何を話しているのか分からなくなってしまいました」と興奮気味に語ると「この作品は、私に観たことがない景色をたくさん見させてくれました」と語り「まだこの映画は劇場で上映しています。ぜひ劇場で観ていただきたい。それが私の望みです」と映画愛を爆発させていた。

■優秀主演女優賞（★は最優秀賞受賞者）

★岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』
のん『さかなのこ』
倍賞千恵子『PLAN 75』
広瀬すず『流浪の月』
吉岡里帆『ハケンアニメ！』