女優ティルダ・スウィントンが主演するペドロ・アルモドバル監督の短編映画『THE HUMAN VOICE』（原題）が、邦題を『ヒューマン・ボイス』として11月3日より日本公開されることが決定。併せて、ポスタービジュアルと予告篇、場面写真が解禁された。

【動画】ティルダ・スウィントン主演！　ペドロ・アルモドバル監督初の全編英語で映画化した短編作品『ヒューマン・ボイス』予告編

　本作は、アルモドバル監督が、フランスの芸術家ジャン・コクトーの名作戯曲『人間の声』を翻案し、初めて全編英語劇に挑戦した30分間の短編作品。監督にとってコクトーの戯曲は古くからなじみがあり、幾度か作品にインスピレーションを与えてきたという。今回、原作をできるだけ「忠実」に脚色しようと試みたものの、性分に合わず、「自由に翻案」と説明を加えている。

　元恋人に別れを告げられたばかりの女性が、電話での会話劇だけで展開する物語。最初こそ未練があることを悟られずにしていたが、次第に元恋人への感情をあらわにしていく。「スーツケースを取りに来るというだけの電話をするのに何日もかけるような男を、狂気に至るまで愛してはいるが、こびるほど依存しきってはいない女性」と、監督なりの解釈で主人公を描き出す。

　一人芝居を演じ切ったのは、国際的にも広く支持され、演技派としても評価の高いティルダ・スウィントン。ティルダについて監督は「抽象的で演じるには困難があるこの役には、真実味と感情を持たせる優秀な女優が必要だった。彼女は才能の幅広さを証明した。彼女の知性と意欲、そしてとてつもない才能と、私に対する絶対的な信頼が大きな役割を果たした。全ての映画監督がこういう気持ちになれることを願う」と絶賛している。

　予告篇は、耳にイヤホンをつけた女性がベランダの花にガソリンをまいている衝撃のシーンから始まる。何かを探しているのか、スーツやトランクのにおいを嗅ぎ回る犬。そして、スマホの画面を確認し、怒りにさいなまれる女性。メークを施して、ベッドに置いたスーツにそっと手を添えながら眠りにつく。そこから音楽と画面が切り替わり、色鮮やかなブルーのスーツでさっそうと工具店を訪れる姿や、ライターを付けたりおのを振りかざしたりする様子が映し出されている。30分間という短い時間の中で繰り広げられる怒濤（どとう）の展開を想像させる内容だ。

　ポスタービジュアルでは、バレンシアガの真っ赤なドレスを身にまとったティルダがおのを振りかざす姿が目を引く。さらに、ペンチや糸のこといったさまざまな工具でタイトルや監督とティルダの名前が形作られ、アーティスティックな雰囲気の中にどこか狂気さえも感じる独特なデザインとなっている。

　映画『ヒューマン・ボイス』は、11月3日よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほかにて公開。