現代社会の中で愛と希望を渇望する少年を描く映画『ぜんぶ、ボクのせい』より、主人公の少年（白鳥晴都）が自堕落な母親（松本まりか）に、「どうして、僕を生んだの？」と重い問いを投げかける場面を収めた本編映像が解禁された。

　本作は、秋葉原無差別殺傷事件をモチーフに、絶望の中に生きる若者と大人たちの姿を描いた自主制作映画『NOISE ノイズ』（2018）で世界中の映画祭を席巻した松本優作監督が、オリジナル脚本で挑む商業映画デビュー作。日本社会のリアルを見つめながら、孤独を抱えた3人の絆、そして一人の少年の成長を鮮烈に描き切る。エンディングテーマは、大滝詠一の「夢で逢えたら」。

　主演を務めるのは、オーディションで選ばれた新人の白鳥晴都。主人公と同じ寂しさを抱えるヒロインを演じるのは、オダギリジョー監督作『ある船頭の話』（2019）のヒロインに抜てきされ、高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞した川島鈴遥。主人公が海辺で出会う“軽トラで暮らすホームレス”役をオダギリジョー、主人公の母親・梨花役を松本まりかが演じる。そのほか、若葉竜也、仲野太賀、片岡礼子、木竜麻生、駿河太郎が出演。

　児童養護施設で母の迎えを待ちながら暮らす優太（白鳥）。ある日、偶然母・梨花（松本）の居場所を知った優太は、会いたい一心で施設を抜け出す。久しぶりの母との時間に安堵する優太だったが、梨花と一緒に暮らしている男・山﨑（若葉竜也）が現れて、その幸せなひとときは暗転。梨花は母親の表情から一変し、優太そっちのけで山﨑との自堕落な生活ぶりを見せていく。

　今回解禁された本編映像は、そんな3人が、カップ焼きそばで食事をしているシーンから始まる。なかなか箸が進まない優太を心配する梨花。その様子をみた山﨑は「優太、梨花を困らせちゃだめだぞ」と優太に声をかける。すると優太は、見知らぬ男性に馴れ馴れしい口調で名前を呼ばれたことに激怒し、山﨑に襲いかかり手首に噛みつく。

　この状況の中、梨花は、優太ではなく山﨑の元へ駆けつけ「ごめんね」と謝り、部屋に散らばった焼きそばを片付ける。その時インターホンが鳴り、梨花は優太に出るように頼む。ドアの向こうにいたのは、児童養護施設の職員・宮本（木竜）。梨花は、施設の職員に優太を引き取りに来るよう連絡をしていたのだった。

　優太は「嫌だ、帰りたくない」と梨花に必死に訴えるが、「ごめんね、優太。帰って」と突き放される。そんなやりとりを繰り返した末、優太は絶望し、涙を流しながら「どうして、僕を生んだの？」と重い問いを投げかける。果たして、やっとの思いで会えた母親から拒絶されてしまった優太は、この先どうなってしまうのか。絶望の果てに希望を見出そうとする、優太の険しい道のりを見届けたい。

　映画『ぜんぶ、ボクのせい』は、8月11日より全国順次公開。