『キネマの神様』山田洋次監督、志村けんさんと“代役”沢田研二は「対照的」
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山田洋次監督が29日、都内で行われた映画『キネマの神様』完成報告会見に、菅田将暉、永野芽郁、野田洋次郎、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子と共に出席。山田監督が、同作に当初出演予定であり、2020年3月29日に逝去した志村けんさんと、その代役で出演した歌手の沢田研二に思いを馳せた。
【写真】『キネマの神様』完成報告会見に登壇した菅田将暉、永野芽郁ら
作家・原田マハによる同名小説を映画化した本作。映画監督になる夢を追いかけ、挫折を経験しながらも映画をこよなく愛する主人公・ゴウの現代パートを沢田研二、過去パートを菅田が2人1役で演じる。
同作は当初、2020年3月29日に逝去した志村さんと菅田によるダブル主演作だった。同月1日にクランクインし全体の半分ほどを撮り終えたところで重要なキャストを失い、映画完成への道は途絶えかけたが、沢田が志村さんの役を引き継ぎついに完成。沢田は、志村さんの代わりに映画本編へ出演することのみが自身の役目であるという考えのもと、イベントには出席しない。
菅田は、ゴウを演じた沢田について「沢田さんはものすごくパワフルで、大暴れしてて。撮影現場も見学させていただいたんですが、すごくチャーミングで、ダメなんだけど色気があって人が周りに集まっていっちゃう、すごく魅力的なゴウだなと思いました」とコメント。
永野は「毎日緊張とどうしたらいいかという勉強の連続でした」と打ち明け、山田監督に「緊張してた?『この子落ち着いてんな』って思いましたけどね」と言われると「してなかったみたいです(笑)」と訂正した。
山田監督の映画づくりに関しては菅田が「撮影のシステムが執念の塊みたい。山田さんが考えて止まって1、2時間平気で経ったりしますから。そんだけスタッフの皆さんも山田さんのことを信頼していて『山田さんの中で決まるまで待とう』という空気」と明かす。山田監督が「うんざりしてんだろうけどね」と苦笑すると、菅田は「まぁ正直気遣ってるスタッフさんも何人かいらっしゃいましたけど(笑)」と笑いつつ、「俳優としてはそんなに求めてもらえることもないので、すごくうれしかったです」と振り返った。
また山田監督は「なんたって志村けんは日本を代表する喜劇俳優、コメディアンですから。沢田さんは日本を代表する二枚目なんですよね。日本一いい男だと言っていい。まったく対照的なポジションにある2人なんですけど、この2人が実は仲が良くて、かなり馬鹿馬鹿しいギャグを沢田さんが志村さんと一緒になって楽しそうにやってるのを僕は何度も見てて、それがとても好きで」と沢田と志村さんとの関係について説明。「だから沢田さんという天下の二枚目が、本来志村けんをイメージして書かれた役を、別な形で表現してくれるんじゃないか、可能なんじゃないかというところに賭けて彼に依頼した。ずいぶん悩んだと思うけど、思い切って引き受けてくれたのは志村さんへの友情もあったんだろうな」と沢田の心境を分析した。
映画『キネマの神様』は、8月6日より全国公開。