池波正太郎原作『鬼平犯科帳』『仕掛人・藤枝梅安』の映画化が決定し、12日に都内で製作発表記者会見を開催。歌舞伎俳優の松本幸四郎が『鬼平犯科帳』の主人公で火付盗賊改方長官・“鬼平”こと長谷川平蔵役を、俳優の豊川悦司が『仕掛人・藤枝梅安』の主人公で鍼医者と殺し屋の二つの顔を持つ藤枝梅安役を新たに務めることが発表された。

　『鬼平犯科帳』『仕掛人・藤枝梅安』は、『剣客商売』と並んで池波正太郎の“三大シリーズ”に数えられる傑作長篇。『鬼平犯科帳』の長谷川平蔵役は、これまで八代目松本幸四郎（初代松本白鸚）をはじめ、丹波哲郎、萬屋錦之介、中村吉右衛門といった名優が演じ、『仕掛人・藤枝梅安』の藤枝梅安役は、緒形拳、田宮二郎、萬屋錦之介、小林桂樹、渡辺謙、岸谷五朗が演じてきた。

　新たに映画化される両作の脚本は、連続テレビ小説『てるてる家族』『なつぞら』などの大森寿美男が担当。監督は、『鬼平犯科帳』を杉田成道、『仕掛人・藤枝梅安』を河毛俊作がそれぞれ務める。

　今回鬼平を演じることになった松本は「今私はすこぶる興奮しております。江戸、そして時代劇という職人芸でお見せいたします。どうぞご期待ください」と宣言。また「作品はもちろん池波先生の傑作でもありますし、祖父、叔父、錦之介のおじさま、そして丹波さんという、とても近い存在が演じておりました作品でもありましたので、お話をいただいた時は驚きと言いますか、喜び以上に驚きました」とオファーを受けた際の心境を振り返った。

　さらに「祖父の鬼平はリアルタイムでは観ておりませんけれども、第5代目としてやらせていただく。ひたすら幸せですね」としみじみ。「（今作への出演を）家族には言いましたけれども、大体『あぁ～』『えぇ～』っていう。『あ』と『え』しか言葉がありませんでした（笑）」と笑った。

　一方、豊川は「とてもとても大きなキャラクターをお借りすることになりました。身が引き締まるどころか身が縮こまる思いではありますが、素晴らしい映画を皆さんにお届けできるよう、誠心誠意頑張る所存にございます」とコメント。

　また「『え、俺が梅安？』みたいな、自分の中でギャップがありました。子どもの頃、緒形拳さんが演じる『必殺仕掛人』に、怖いけど格好良いっていう夢中になった時期がありまして、僕の中でも憧れのヒーローではあったので、それをまさか自分がやることになるなんて、正直すごく迷うような部分もありました」と打ち明け、「でも大森寿美男さんが書かれた素晴らしいシナリオを読み、監督に河毛俊作さんの名前が出て、『これはやるしかないな』と腹をくくったというか、チャレンジしがいのある仕事を映画の神様がくれたんだな、と思いました」と語った。

　劇場映画／連続シリーズ『鬼平犯科帳』は2024年5月公開＆連続シリーズ配信予定。劇場映画『仕掛人・藤枝梅安』は2作品製作され、2023年2月＆5月公開。