河瀬直美監督の最新作『朝が来る』で、女優の永作博美がヒロインを演じるほか、俳優の井浦新、女優の蒔田彩珠、浅田美代子らが出演することが発表された。

　直木賞作家・辻村深月による同名のベストセラー長編を実写化する本作は、実の子を授かることがかなわず、特別養子縁組という手段を選んだ夫婦と、中学生で妊娠し、子どもを手放すことになった幼い母の、それぞれの人生を丹念に描くミステリー作品。

　心から望みながらも、実の子を授かることができなかった栗原夫妻。永作はヒロインである妻の佐都子役を演じる。永作は「監督の撮影手法に驚き、いつ撮影は始まったのか…何が本当なのか…現場で1つになった心臓の音がいつもドックンドックン響いていた。皆がその静寂にどう在るのか考えただけでまた心臓が鳴ります」と河瀬組の撮影を振り返る。

　井浦は夫の清和役。河瀬組には初参加となる井浦は「河瀬監督の現場は、どう芝居をするかではなく、どう“生きるか”が求められます。それができる環境を監督を始めスタッフの方々皆が徹底して作り上げてくれました。その中で俳優部は魂を擦り減らしながら生をぶつけ合う。このように深い愛に溢れた現場で生きることで、生命を育む地球の記憶についてまで再発見する事ができ、とても感動しました」と熱い思いを述べる。

　蒔田は、まだ生理も来る前に同級生に本気の恋をし、望まぬ妊娠をしてしまった少女・片倉ひかり役。「撮影が進む中で、自分がひかりになったと感じた瞬間があり、とても強い心を持つことができました」と力強いコメントを寄せている。

　また、栗原夫婦と片倉ひかりを引き合わせた人物・浅見静恵役を浅田美代子が演じる。浅田は「河瀬組…正直怖かった。何故なら河瀬監督には嘘（お芝居）は通用しないから。撮影期間中はずっと『浅見（静恵）』で過ごした」と語る。

　このほか、ひかりの家族として、母親役に中島ひろ子、父親役に平原テツ、姉役に駒井蓮らが出演。さらにひかりの恋人役に田中偉登。佐藤令旺がひかりの実子にして永作演じる佐都子の養子・朝斗として参加する。

　映画『朝が来る』は2020年初夏、全国公開。