【解説/みどころ】
前作「ひとひらの雪」で腰のすわった都会派ぶりを発揮、改めて注目された根岸吉太郎が、森田芳光の脚本を得て演出したホーム・ドラマの力作。インタビュアーの仕事をこなし、中学生と小学生の二人の息子と暮らしている登起子は、単身赴任中の夫から愛人ができたことを告げられる。やがて離婚を決意した彼女は子供たちのバックアップを得て、明るい母子家庭を築きあげていくが、ある日、夫がやって来て女と別れたことを告白するが……。根岸はこのかなり裕福な中流家庭を確かな現代感覚をもって描いており、これが成功の主因と言えよう。無機的な雰囲気、船に乗り電車で荒地を越えて行く夫の研究所の地理など、どことなく森田の「家族ゲーム」を思わせるが、この映画に息づくのはまぎれもない等身大の人間たち。解体しつつある家庭の新しい絆を、不安のうちに求めている現代人たちが見事に描かれている。室内を縦横に動きまわる時にトリッキーなカメラ・ワークが実に面白く、十朱幸代や子役など俳優陣も好演。
- キャスト
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十朱幸代/
田中邦衛/
藤真利子/
陣内孝則/
斉藤慶子/
柴田恭兵/
村上雅俊/
- スタッフ
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監督:
根岸吉太郎
脚本:
森田芳光
原作:
干刈あがた
- 上映時間・制作年
- 105分/1986年
- 制作国
- 日本
- 配給
- ディレクターズ・カンパニー=ニュー・センチュリー・プロデューサーズ=日本テレビ