ホラー畑出身の『シャザム!』監督、新たな挑戦は「夢のようだった」
「前2作はホラーでありながら、実はユーモアを忍ばせていて、そこで培ったものを本作で大きく使うことができたのはすごく楽しかった。ホラーとコメディはちょっと似ている部分があり、それは『間』とか『タイミング』がばっちりでないと、笑いも恐怖も味あわせることはできないというところ。また、観客が劇場で叫んだり笑ったり、すぐに反応が見られるところも、ジャンルとして気に入っているよ」と話す。本作でも、冒頭や悪役のシーンにホラー描写が登場するが、「血とかゴアとかは扱えないけど、少しだけホラー要素を取り入れることができたんだ」とうれしそうに口にする。さらにデヴィッド監督は、「『シャザム!』では軽妙になりすぎず、ちゃんとドラマも描きたかった」と熱を込める。「だってこれはビリーが母親を探すという物語でもあるし、胸にジーンとくるようなシーンもいくつか入っているからね。だから本作は伝統的なドラマの作り方に近いんだ」。
映画『シャザム!』場面写真(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
デヴィッド監督のキャリアは、前2作で製作を手掛けたホラー界のヒットメーカー、ジェームズ・ワンと重なる部分が多い。ジェームズは『ライト/オフ』の短編バージョンを観てデヴィッド監督を見出したが、マレーシア出身の彼自身もホラーの短編作品からヒットシリーズ『ソウ』を生み出した。そして徐々に大作を手掛けていき、今年日本で公開されたDC映画『アクアマン』で世界興収10億ドル越えの大ヒットを記録している。デヴィッド監督は「彼は僕より10年前にキャリアをスタートさせていて、彼の道のりは僕に大きな影響を与えているよ」とし、「彼が僕の『ライト/オフ』をプロデュースしたいと言ってくれた時はすごく光栄だったし、これからも大きなインスピレーションを受けるだろうね」と話す。
最後にこれから撮りたい作品について聞くと、「大好きなホラーはもちろん、アクションなどいろんなジャンルをやってみたいけど、唯一ジェームズと違うのは、車の映画(『ワイルド・スピード SKY MISSION』のこと)は作りたくないんだよね、特に好きじゃないから(笑)」と冗談を飛ばした。確かな実力で大きなキャリアアップに成功したデヴィッド監督が、これからどんなヒット作を生み出すのか。まずは『シャザム!』を観て、その手腕を堪能したい。(取材・文:川辺想子)
映画『シャザム!』は4月19日より全国公開。