オスカー俳優エディ・レッドメイン、愛とは「ふたつの魂の出会い」
来日時のファン・イベントでは、日本最大級の劇場のチケットを7分で完売させたエディ・レッドメイン。はにかみ笑顔で女性たちをトリコにしている彼が、アカデミー賞主演男優賞を受賞した『博士と彼女のセオリー』から2年連続でオスカーノミネートを果たした、実話ベースの主演作『リリーのすべて』について語った。
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「リリーが誰であるのか、どんな女性なのかということをまず考えた。真のリリーをつかんでから、では彼女が男性として生きていたときはどうだったんだろうかと、さかのぼることで役作りをしていったんだ」とエディ。
『リリーのすべて』は、1920年代、世界で初めて性別適合手術を受けたリリー・エルベと、最愛の夫の、女性として生きたいという意思を支えた妻ゲルダの愛の軌跡を描く。監督は『レ・ミゼラブル』でもエディと組んでいる『英国王のスピーチ』のトム・フーパー。
アイナーという名の男性として生を受け、画家として活躍していたリリー。同じく画家の妻ゲルダとの結婚も平穏に見えたが、あるときから、彼女は自分の内側に潜んでいた女性性にはっきりと気づき、苦悩し始める。「アイナーとして生きていたころの実際の写真が残っているんだ。高めの襟と非常にキツめのジャケットを身に着けたもの。まるでエクソスケルトン(外骨格)で固められているようだった。リリーがいて、その周りを覆われた状態でアイナーとして生きていたんだと感じたよ」。
当時はトランスジェンダーという言葉や概念も確立していなかったが、リリーのように自らの本当の性別との違和に苦しむ人はいたはず。そのなかで、リリーは世界で初めて性的適合手術に踏み切った。その事実をエディはこう分析する。
「確かに多くのトランスジェンダーの人々が、トランジション(性別適合)せずに生きていた。リリーは真の先駆者だったといえる。そうさせたリリーの核はなんだったのか。考え続けたよ。元来持って生まれた資質かもしれないし、ゲルダという、大きな愛でサポートをしてくれた女性がいたからかもしれない。さらにリリーもゲルダもアーティストで、ボヘミアン的な仲間たちの一員だったことも大きい。それから時代性も。1920年代にジェンダーの概念がずいぶん変わっていったんだ」。