マッツ・ミケルセン、日本ファンの“マッツ・ミレマセン”に答え「また戻ってきます」
エンシェント・ワンのかつての弟子でありながらも、師の行動に疑問と強い憤りを感じ、反逆者として闇の魔術師になっていくカエシリウスだが、悲しみを心の奥深くに宿しているような、エモーショナルな印象さえ与える。
役への向き合いについて、マッツは「彼の悲しさは映画の中でももちろん描かれている。彼は家族を失って、修行をするカマー・タージにたどり着くけど、力をつける中でも悲しみはずっとあり続けているんだ」と人間性について掘り下げ、「彼が達成しようとしていたことは僕も共感できると思うし、ある程度、達成するためには手段を選ばないところもわからなくはないかな。だって、ゴールのほうが大切なわけだから。何かをよりよくできるのであれば、代価を払ってもいとわない」と、役への深い理解を示した。
こうしたダークサイド気味な役にも深みを与えるような演技こそ、マッツに様々な役のオファーがくる所以だと推察する。本人に聞けば、「はっきり言うけど、僕は世界中のオファーをもらうわけではないよ!」と肩をすくめるそぶりを見せつつ、「作品に出演するにあたって大切なのは、惹かれるストーリーであること。もうひとつは、監督。その人の中に炎があるのか、映画にすることはその人の夢なのか。もしただの仕事として捉えている人ならば、(一緒には)組めない。監督の夢であれば、それは僕の夢でもあるんだ」と、理知的な口調で夢という言葉を使いながら、作品に対する思いを語った。マッツが歩む豊かな役者人生、スクリーンでの姿を拝み続けたい。
『ドクター・ストレンジ』は全国公開中。(取材・文・写真:赤山恭子)