山田孝之、「才能なんてないけど、色々考えてます」 同世代俳優と歩む役者道
山田孝之にとって、同じ人物を演じ続けるというのは何を感じ、受け取ったことになったのだろう。自身の名刺代わりともなった『闇金ウシジマくん』シリーズの主人公・丑嶋馨をトータルで6年演じきり、今は最終章『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』の公開を待つばかりだ。「丑嶋は皆が作ってくれたんです。達成感はありますね」と、穏やかな笑みを見せる山田は、人呼んで天才、演者からもスタッフからも絶大なる支持を得続ける。作品に投じた想いや心の内を少しでも覗きたくて、単独インタビューを行った。
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10日で5割(トゴ)という高利での金貸しを業とする男が主人公の本作。ドラマシリーズや配信、3本の劇場版は、すべて債務者のむごい人生と、向き合う丑嶋の容赦ない描写が描かれてきた。『ザ・ファイナル』では、これまでとややトーンを変え、いわば「Road to丑嶋」とも呼びたくなる、丑嶋の人生にフィーチャーした展開をみせる。「すごく面白かったし、いい映画だなと思ったし、シリーズがキレイに終われたと思いました。観終わったとき、いい意味で、ちょっと呆然としました。絶対に観ていただきたいです」とは、鑑賞後の山田の率直な感想。普段あまり口にしないであろう「絶対に」という断定的な言葉のチョイスが、積み上げてきた作品への愛と責任を感じさせる。
「この(丑嶋の)髪型にすると、皆が『あ、丑嶋やるんだね』って言うので、それだけ多くの人に知ってもらえている実感があります」と表現するほど、山田にとっても世間にとっても、影響力の大きな作品だった。魅力は、何と言っても物語をけん引してきた山田の絶対的存在にほかならない。山田は、「真ん中に丑嶋という変なものが堂々と立っているから、周りはエキセントリックなキャラクターで、とことん暴れまわっても成立するんです。逆に言うと、周りが暴れてくれているので、丑嶋は真ん中に立っているだけでいい。それぞれがお互いにキャラクターを作り合っている感じでやっていました」と話し、関わったすべての役者やスタッフの賜物だと感謝の言葉に変える。