邦画界を賑わす女優・安藤サクラ、励みになった父の言葉とは?
今、最も面白く、スクリーンで見たい女優といえば、安藤サクラの顔を思い浮かべる人も多いはず。2014年に公開された『0.5ミリ』と『百円の恋』とでは数々の受賞を果たし、邦画界を賑わせた安藤。二作品を通して「憧れのものになれた気がした」というが、安藤が思い描く女優像とはどんなものなのだろう。
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ワケありの老人たちを見つけては、その生活に入り込んでいくおしかけヘルパー・サワの姿を描く『0.5ミリ』。不器用にしか生きられない女性・一子が、ボクシングを通してどん底から這い上がろうとする姿を描く『百円の恋』。安藤は「ベクトルは全然違うんだけれど、人間の生き物としての可能性をすごく感じました」と力強く語る。
その言葉通り、どちらも本能的な「生きる」勇気を掻き立てられる作品だ。サワを「決して優等生のやり方ではないけれど、コミュニケーション能力をすごく発揮している人」と分析し、「人と人が触れ合うからこそ生まれる能力、その可能性を学んだ」と安藤。
一方、『百円の恋』では、一子を演じるために、10日足らずでの肉体改造に挑んだ。その変身ぶりは驚愕の一言だが、「私自身が肉体と向き合ったこともあり、人間の可能性を感じた。今まで私は、人間よりも他の動物の方がすげえなって思いがちだったんだけれど、この二作品を通じて、何より人間という生き物の無限の可能性を感じたんです」と話す。
「『百円の恋』は、“ヨッシャ、生きてやるぜ”というその瞬間のエネルギーがもらえる。『0.5ミリ』は、この先に生きていくエネルギーをもらえると思います」と目を輝かせる。そのエネルギーは観客に確かに伝わり、大きな反響を得た。二作品のプロモーション活動では精力的に全国をまわって、「直接映画を見てくださった方と繋がることができた」とうれしそうな笑顔がこぼれる。
「舞台挨拶ではなるべく質疑応答の時間を作っていただいてました。みなさんの言葉から気づくことって本当に多くて。とにかく劇場に入ったときの熱気がすごいんですよ!思い出しただけでも泣きそう」と瞳をうるませ、「映画を見てくださる方がいるということを、実際に目にすることができたことは私にとってとても大きいこと。これからもきっと、そういうことを感じながら作品をつくっていくことができると思う」と、観客の熱に触れたことが女優として歩む上で大きな力となった様子だ。