『弱虫ペダル』原作者が語るキャラクターの魅力、“エース”を主人公にしなかった理由
累計発行部数1400万部を超える大人気コミックを原作とするアニメシリーズ初のオリジナル長編映画『劇場版 弱虫ペダル』が公開となる。個性あふれるキャラクターたちが繰り広げる熱きドラマが魅力の本作。原作者の渡辺航を直撃し、オタク少年の主人公・小野田坂道の誕生秘話をはじめ、インパクト大のキャラクター陣を生み出す秘訣を聞いた。
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自転車ロードレースにかける高校生たちの姿をそれぞれの背負うドラマと共に描く本作。自転車ロードレースならではの迫力に満ちた戦いも話題を呼び、TVアニメ化が実現。多くのファンを獲得した。劇場版で描かれるのは、アニメ第2期のその後の物語。シナリオは渡辺の書き下ろした新作ストーリーとなるが、「各校がインターハイでできなかった部分を劇場版でやりたかった。箱根学園も絶対にリベンジしたいだろうしね」と坂道が所属する総北高校はもちろん、ライバル校である箱根学園にも思いを馳せる。
ドラマのひとつの軸となるのが、坂道と卒業を控えた3年生との関係。中でも、イギリス留学を決意した巻島との心の掛け合いが見どころとなる。「進路を決めた時に、巻島が心残りにしているのは、自分が抜けた後のチームのこと。そして初心者クライマーの坂道のことだと思うんです。巻島は坂道に託したいことがあったはずですが、そのタスキを渡す部分はアニメでは描かれなかったので、そこはすごく書いてあげたいと思いました」。
様々な出会いを通して成長を遂げてきた坂道。スポーツ漫画の主人公が「アニメ好きなオタク少年」という設定が斬新だ。「以前、コミカライズをやらせていただいた『電車男』の主人公が、一歩進みながらも半歩戻って、それでも一歩一歩進んでいくというキャラクターだったんです。そういう男の子をもう少し描いてみたいと思って誕生したのが坂道」。また、「普通は、“絶対に勝ってやる!”みたいな人が主人公だと思うんです。でも、僕自身ロードレースをやっていますが、“人を押しのけてでも勝ってやる”というメンタルがあまりなくて(笑)。坂道には僕の中にある部分を相当、盛り込んでいます」と自らの思いを投影したキャラクターだと明かす。
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