2023年から2024年にかけて数々の賞レースを席巻したドラマ『ムービング』の原作者で脚本を務めたカンフルが同じく原作・脚本を手掛ける本作は、暗い路地裏の照明店を訪れるどこか変わった客人たちをめぐる、切なくも温かい人間愛を描いた感動のヒューマンミステリー。サングラス姿の謎の店主ウォニョンをチュ・ジフン、看護師役のパク・ボヨンをはじめ、オム・テグ、イ・ジョンウンなど，豪華キャスト陣が脇を固め、『ムービング』に出演していたキム・ヒウォンが初監督を務めた。

　2023年から2024年にかけて、第60回百想芸術大賞3冠、アジアコンテンツ＆グローバルottアワード6冠、第3回青龍シリーズアワード3冠など数々の賞レースを席巻した『ムービング』のファンだという品川は「すでに2回観ているのですが、1回目と2回目で見え方が変わる」と奥行きのある作品に魅了されたという。

品川の言葉にカンフルは「『ムービング』は（漫画を）発表してから数年経ってから作られたドラマなんです」と説明すると「全20話というのは普通のドラマよりも長いのですが、親世代、子世代という二つの世代の物語を紡ぐと、このぐらいのボリュームになってしまったんです」と語る。

　『ムービング』の制作陣が手掛けた『照明店の客人たち』も非常に興味があったという品川。配信に先んじて1～4話まで観たというと「これまでの作品もそうですが、何が起きているんだろう、誰が生きているんだろう、この人たちはどういう人たちなんだろう……という不確定なものをチラチラ見せながら、視覚的な怖さや不気味さで興味を引っ張る」とカンフル作品の特徴を挙げると「4話の最後で『あー』となる。だから1～4話という区切りで配信するんだなと思いました」と感想を述べる。

　カンフルは「まさにそうですね」と笑顔を見せると「4話までで、ミステリーやスリラーのアプローチで見せて、そこからまた違った展開のストーリーが始まるような物語なんです」とヒントを与える。

品川は『照明店の客人たち』の魅力について「1話1話で主人公が変わる。僕は（ペ・ソンウ演じる）刑事のキャラクターが好きなんです」と内容に触れると「『ムービング』では、（リュ・スンリョン演じる）チキン屋のお父さんが好きでした。僕はおじさんなので、渋いおじさんの話になるとテンションが上がるんです。一方で、10代だったら女子高生など、世代によって気になるキャラクターがいるのも魅力。そんな登場人物たちが、最後に向かってどんどんと絡み合って伏線が回収されていくストーリーは本当に面白い」と絶賛する。

カンフル自身も「僕も長年漫画を描いていますが、好きなのは多重人物構造なんです」と品川の意見に同意すると「いろいろな世代のキャラクターがクロスしていく物語を描くことが楽しい」と自身の作品の特徴を挙げていた。

　本作のストーリーの種となったことについてカンフルは「私の父親はキリスト教の牧師なのですが、私が若いころ、icuで厳しい状況の患者さんに祈りを捧げていた父の姿を見ていました。そのときお医者さんが『厳しい状況のなか、生きる意志が生死を分ける差なんです』と仰っていたんです。僕は『重体の患者さんには意志がないのにどうしてそういうものが生まれるんだろう』と思っていました。そんなことがこの作品に繋がっていると思います」と語っていた。

また日本のカルチャーにも影響を受けているというカンフル。「スティーブン・キング、（中国の作家）金庸などの作品のように、登場人物に奥行きがある物語が好きなんです」と例を挙げると「僕は漫画家なので、あだち充さんや浦沢直樹さんも大好きです。一見まったく違う二人の漫画家のように感じるかもしれませんが、彼らの作品に登場する人物は生き生きとしている。あとは松本大洋さんの漫画作品も好きですね。こうした作品に私は大きな影響を受けています」と語っていた。

　最後にカンフルは「ミステリー、ロマンス、スリラーなどいろいろなジャンルの作品が詰まっていると思います」と作品について述べると「どれか一つのジャンルに決めるのが難しいほど多岐に渡っていますが、最後までご覧になっていただけると、これから生きていく上で記憶に残る作品になると思います」と期待を煽っていた。

『照明店の客人たち』は全8話。ディズニープラスにて全話独占配信中。