その名を知らぬ者はいないキング・オブ・エンターテインメント『ライオン・キング』。第67回アカデミー賞で作曲賞・主題歌賞に輝いたアニメーション版の誕生から30周年を迎える今年、なんとそのエピソード・ゼロ＝はじまりの物語が明かされる！　今回クランクイン！では、燦然と輝く『ライオン・キング』の歴史に名を連ねる新作映画にして原点『ライオン・キング：ムファサ』（12月20日公開）の注目ポイントを3つに分けて紹介。さらに、本作の超速レビューも紹介（12月18日更新）！　この冬を彩るメモリアルな感動超大作をぜひチェックしてほしい。

【動画】『ライオン・キング：ムファサ』吹替版本予告 ＞

■“兄弟の絆”からはじまるキング・オブ・エンターテインメント！

　『ライオン・キング』の名シーンは数え切れないが、誰しもの心に刻まれたシーンといえばやはり、息子シンバを守ろうとした国王ムファサが弟スカーの手で命を落とす心痛な場面だろう。スカーがただの悪役でなく、屈折してしまったキャラクターであることも悲劇性を増幅させていたが、ムファサとスカーの若き日を描く『ライオン・キング：ムファサ』では衝撃な新事実が判明！　なんと2匹は実の兄弟ではなく、孤児のムファサを王子タカ（のちのスカー）が群れに引き入れた“義兄弟”だったのだ。かつて手を差し伸べたタカが、なぜヴィランとなってしまったのか。よそ者だったムファサがどうやって王に上り詰めたのか、なぜ愛情が憎悪へと反転したのか、両者の道はどこで違えたのか――。この設定だけで想像が膨らみ、大いに気になってしまうはず。なお本作は映画史を塗り替えた『ムーンライト』で第89回アカデミー賞作品賞・脚本賞に輝いたバリー・ジェンキンスが監督を務めており、涙を禁じ得ないエモーショナルな演出は確定事項といっていいだろう。やがてあの哀しすぎる“別れ”へと至ってしまう、“ディズニー史上、最も温かく切ない”映画が幕を開ける――！


■超実写プレミアム吹替版声優を務めるのは“間違いない”豪華キャストたち！

　物語をけん引する日本独自のボイスキャストにも期待したい。ディズニー・ミュージカル作品は、USディズニー本社の厳しいオーディションを突破した実力派のみが起用されることでもお馴染み。これまでも『アラジン』で木下晴香＆中村倫也、『ライオン・キング』で賀来賢人、『リトル・マーメイド』で豊原江理佳＆海宝直人、『美女と野獣』で昆夏美＆山崎育三郎と演技力・歌唱力共に圧倒的な実力を誇るキャストが抜てきされ、ハイクオリティの日本版が完成してきた。

キロス
　今回、その輝かしい面々に加わったのは『八犬伝』『十一人の賊軍』の熱演が記憶に新しい歌舞伎俳優・尾上右近、Travis Japanの松田元太、そして名優・渡辺謙が冷酷なヴィラン、キロスに扮する。先んじて公開された超実写プレミアム吹替版予告でもその片鱗がうかがえるが、ムファサ役の右近＆タカ役の松田が見せる絶妙なコンビネーション、そして渡辺との壮絶な演技合戦、さらに心震わす歌唱シーン――精鋭たちのパフォーマンスに楽しみが尽きない！

■リン＝マニュエル・ミランダが手掛ける音楽に心揺さぶられる！

　そして――ディズニー作品といえば世代を超えて受け継がれる名曲群！　『ライオン・キング』の「サークル・オブ・ライフ」「ハクナ・マタタ」はいまさら説明不要なほど有名で、世界中の人々の耳に馴染んでいる。そんな不朽の名曲群と双璧をなす新曲を創り上げたのは、ブロードウェイミュージカル『イン・ザ・ハイツ』『ハミルトン』や映画『モアナと伝説の海』で知られるリン＝マニュエル・ミランダだ。トニー賞やグラミー賞ほかに多数輝く“天才”であり、実写版『リトル・マーメイド』では『美女と野獣』『アラジン』ほか一時代を築いたディズニー音楽の巨匠アラン・メンケンとのコラボレーションも経験済み。ムファサとタカの兄弟の絆を描いた「ブラザー/君みたいな兄弟」ほか、ミランダが生み出す新たなる『ライオン・キング』の音色が待ちきれない。

　また、超実写プレミアム吹替版声優の歌声にも大きな期待が寄せられている。11月中旬にはムファサ役の右近＆タカ役の松田による劇中歌「ブラザー/君みたいな兄弟」の初歌唱映像が解禁！　初共演とは思えない息の合ったパフォーマンスと圧巻の歌声を披露し、そのクオリティの高さが話題となった。さらに本作では、名優・渡辺謙（ヴィラン・キロス役）、ミュージカル界で活躍するMARIA‐E（サラビ役）や吉原光夫＆和音美桜夫婦（ムファサの両親役）も歌声を披露する。音楽面でも超一流のアーティストが勢ぞろいした本作を、ぜひとも劇場の最高級の音響設備で全身で体感してほしい。

■【12／18更新】家族や兄弟との決別、仲間との出会いなど、『ライオン・キング』の歴史が明らかに！

　ではここからは、実際の『ライオン・キング：ムファサ』の具体的な“中身”をレビュー形式で検証していこう。冒頭からキリンやゾウといったサバンナの多種多様な動物たちが生き生きと躍動し、目を見張るほどの映像美と壮大な音楽で一気に『ライオン・キング』の世界に引き込んだ後は、いよいよムファサとタカの物語の幕開け。緑豊かな楽園「ミレーレ」を目指して干ばつ地帯を歩くムファサと父母がスコールに遭遇し、洪水に巻き込まれてはぐれてしまう――という展開が流れるように描かれていく（雨を見たのが初めてのムファサが泳ぎ方を知らない、という設定も上手い）。なんとか木片につかまり九死に一生を得るも陸には上がれず、流されるままに湿地帯まで来てしまったムファサ。不安で押しつぶされそうな彼を救ったのが、王の血を引く後継者・タカだった（救出シーンが『ライオン・キング』でスカーがムファサを突き落とすシーンのセリフオマージュになっている演出も泣かせる…）。

（左から）ムファサ、タカ
　「ずっと兄弟が欲しかった」というタカは「よそ者と関わってはいけない」という掟（おきて）を気にせず、父に課せられた勝負にわざと負け、ムファサを群れに引き入れる。かくしてふたりは兄弟となり、支え合って成長していくのだが、その過程を彩る新曲「ブラザー/君みたいな兄弟」が音楽的にも物語面でも至高！　王子としてムファサを守ろうとするタカの想いやふたりの絆が、超実写プレミアム吹替版では尾上右近＆松田元太による極上のハーモニーで歌い上げられるのだ。

　そこに登場するのが凶悪なキロス。タカの父母と仲間たちを襲い、ムファサとタカは追われる身に…。ここから物語はシリアス＆サスペンスフルなトーンへと変貌する。晴れやかな「ブラザー/君みたいな兄弟」とキロス役を務める渡辺謙の低音ボイスが響き渡るダークな「バイバイ」のコントラストも鮮やかで、物語と音楽の絶妙な連動も観る者をうならせる。映像面でも、超実写版ならではの業（わざ）がさく裂。カットを細かく割るのではなく、サバンナの大パノラマを従来の撮影機材では実現しえないであろうアクロバティックなカメラワークで魅せたかと思えば、狩りのシーンではムファサ目線の超低空飛行のショットで驚かせ、チェイスシーンではGoPro的な映像を挟み、まるで飽きさせることがない。

（左から）サラビ、タカ、ムファサ、ヤングラフィキ
　そして、『ライオン・キング』好きのハートに刺さる“新事実”にして“真実”が次々に明かされる点も、大きな見どころだ。ファンが気になっているであろう「なぜ最強の絆で結ばれたムファサとタカの兄弟は決別してしまったのか？」「どうしてタカは“スカー”と呼ばれるようになったのか？」はもちろんのこと、タカが暗い感情に染まっていく道程が悲痛な楽曲「裏切りの兄弟」を絡めつつ丁寧に描かれ、ムファサだけが持つ特異な“才能”も判明。加えて、やがてムファサの妻となるサラビとの出会いと恋愛ドラマ（右近×MARIA‐Eのデュエット曲「聞かせて」は名曲ぞろいのディズニー・ミュージカルの中でも語り継がれるであろう完成度）、そしてラフィキやザズーの過去編、さらには王国プライドランドの誕生秘話までが次々と明かされていく――。まさに、『ライオン・キング』の歴史が変わるといっても過言ではない必見の内容になっている。

　また本作は、シンバとナラの娘であるキアラがティモン＆プンヴァと共にラフィキの語るムファサの若き日を聞く――という構成になっており、現代パートではシンバ役の賀来賢人ほか、佐藤二朗、ミキ亜生など、前作『ライオン・キング』の超実写吹替版声優も続投！　さらに、字幕版ではムファサ役アーロン・ピエール、タカ役ケルヴィン・ハリソン・Jr、キロス役マッツ・ミケルセンのほか、ナラ役を務める世界の歌姫ビヨンセ・ノウルズ＝カーターが、シンバとナラの娘キアラ役を務めるブルー・アイビー・カーターと親子共演を果たすことでも話題となっている。

　映像・物語・音楽――どこをどう見ても満足度の高い『ライオン・キング：ムファサ』。豊作ぞろいだった2024年を締めくくる1本として、ぜひ劇場で“映画納め”していただきたい。

『ライオン・キング：ムファサ』は12月20日（金）全国劇場にて公開。

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