屋比久知奈、約7年ぶりのモアナ役でも「自然とリンク」 “作り込みすぎない”役作りを語る
映画『モアナと伝説の海2』が6日に公開された。本作の舞台は、壮大で美しい海が広がる南太平洋のポリネシアにインスパイアされた楽園のような島々で語り継がれる神秘的な伝説を基に、海に選ばれ愛された16歳の少女モアナの冒険を描いた前作から3年後。モアナは、少し大人へと成長しており、妹のシメアも登場。1000年にひとりの“導く者”となったモアナは、相棒のマウイや新たな仲間たちとともに再び大冒険に漕ぎ出していく。そんなモアナの日本版声優を前作から引き続き担当するのは、女優の屋比久知奈。前作ではオーディションで選ばれた“期待の新星”として大抜てきされ、その後は『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』など数々のミュージカル作品に出演し、今や日本のミュージカル界を代表する女優の一人となった。今回クランクイン!は、約7年ぶりにモアナを演じる屋比久にインタビュー。モアナともリンクする“リアルプリンセス”な屋比久の成長と挑戦への思いを聞いた。
【写真】モアナ風衣装がステキ! ぬいぐるみを持った、キュートな屋比久知奈
■モアナは「わたしの一部」
――続編が発表された時はどんな気持ちでしたか?
屋比久:続きがあるとうれしいなとは思いつつ、1作目がキレイに終わった印象だったので、あまり現実的に想像していなかったんです。なので続編のお話を聞いた時は本当にうれしかったし、驚きました。今回は前作から3年後の物語なのですが、まずモアナの成長を表現したディズニーさんの映像がすごいなって。表情や髪型、服装、所作など、ちょっとした変化から3年の歳月が感じられるんです。もちろんストーリー面でも成長が垣間見えて、純粋に海の向こうに憧れていた前作の16歳のモアナと違って、今回は新たな問題に立ち向かうために海に出ます。 大人になったからこそ芽生えてくる、いろいろなものを抱えた上での不安に共感しました。わたし自身も前作から7年経って収録に挑んだのですが、その間にたくさんの経験をしたので、自然とモアナとリンクして、無理なくお芝居ができたかなと思います。
――屋比久さん自身の成長が今回のモアナに反映されていたり…?
屋比久:反映されていたらいいなと思います。年齢を重ねたのに、自分ではあまり変わっていないような気がしても、周りの皆さんが「大人になったね」って言ってくださる瞬間があると思うのですが、もしかしたらわたしが意識していないところで、声や表現方法に変化が生まれているのかもしれません。この7年の間、たくさんの舞台に立たせていただいたので、とにかく一生懸命にセリフを読んでいた7年前とは違った、技術面で成長した姿をお見せできたらいいなと思って挑みました。「大人になろう」という気持ちで演じるというよりかは、自然と7年の経験や成長が出るのがいいのかなって。言葉の言い回しや感情の込め方もトゥーマッチになりすぎると、作品が持つピュアな魅力がなくなっちゃうかもとも思うので、今回はあえて余計なものを出さないというところに気を付けました。
19歳になったモアナ (C)2024 Disney. All Rights Reserved.
――前作から7年経った今の屋比久さんにとって、改めてモアナはどんな存在でしょうか?
屋比久:モアナというキャラクターは、わたしの一部になってくれていると感じています。前作に挑んだ時は沖縄から東京に出てくるタイミングでもあって、モアナの言葉や作品のメッセージ、音楽にすごく支えてもらいました。きっとこれからも、大切な部分としてわたしの中で生き続けるキャラクターになると思います。自信にもなったし、初心に帰らせてくれる存在でもある。これまで大きな舞台に立たせていただいたときも、心のどこかにモアナがいたような気がしています。前作のセリフで「わたしには選ばれた理由がある」とあるのですが、わたし自身もその言葉を発したことで、「大丈夫だよ」って支えてもらったような安心感が得られました。あと『モアナと伝説の海』を見てくださった方たちからも、たくさんのうれしいお言葉をいただきました。この7年の間に何度も思い返した作品であり、愛すべきキャラクターに出会えたことはすごく幸せなことだと思います。
――本作は「ビヨンド ~越えてゆこう~」など新たな楽曲も見どころです。歌唱シーンのレコーディングはいかがでしたか?
屋比久:再び外の世界を目指す点でいうと前作の「どこまでも ~How Far I'll Go~」と似た状況ではあるのですが、ただただ海の外に恋い焦がれていた「How Far I'll Go」の時と比べて、今回のモアナは抱えてるものが全然違っているんです。外に出て新しいものを見てみたいけれども、経験や家族、プライドなど大切なものや守らなきゃいけないものが増えたからこそ、行きたいけど行けない怖さがある。人って背負うものが増えると新しいことに挑戦するのが嫌だったりするじゃないですか。今回の「ビヨンド ~越えてゆこう~」には、子どもの頃とは違う、大人のモアナの葛藤が描かれていると思います。外に出たいという純粋な心に、ジリジリとしたものが加わった楽曲というか…。盛り上がり方もぐーっと尻込みしつつ引っ張られている感じが、前作とは違う魅力なのかなと思っています。
なので、今回はそんな葛藤を表現できたらいいなと思いながら歌わせていただきました。ここでも“作り込みすぎない”ことをとても意識しています。あまり自分の声を聞くタイプじゃないのですが、改めて前作の楽曲を聞いた時に「今の自分には出せない声だな」と思いました。悔しくもありつつ、成長ってこういうことなのかなって。経験を積んだからこそ、ドスの効いた声とかいろいろな表現が身に付いたのですが、今回は前作のことを思い出しながら、とにかく真っすぐで純粋な気持ちで歌いました。でも収録する中で「ちょっと今のはモアナっぽくないな」という歌い方もしてしまったり(笑)。
――それでは何度か録り直しも…?。