『虎に翼』『ラストマイル』活躍続く岡田将生 35歳を迎えた彼に中井貴一が贈るメッセージ
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『ザ・トラベルナース』第2話場面写真 (C)テレビ朝日
――今回、前回から変えてみようと思うところはありますか?
中井:なるべく同じにしようと思ってます。「こんな感じだった? こんな感じだったよね?」と、お互い確認しながらやっている感じですね。バージョンアップできるところがあればしていくでしょうし、今回はメンバーも昔のままでありながら、新しい方たちも入ってくださっているので、きっと良い化学変化が起きていくと思うので、そこも楽しみですね。
岡田:(歩は)こんなに失礼だったかな…って思いました。
中井:そう?
岡田:前作の第1話はあのテンションなんですけど、最終話を演じたころには、(2人の関係が)変化してあそこまではやってないんですよね。それが2年間でゼロに戻り、静さんにまたこんなきついことを言って生意気だなと…。
――この2年、岡田さんは『虎に翼』、『ラストマイル』などさまざまな作品で大活躍でした。中井さんはそんな岡田さんをどのようにご覧になっていましたか?
中井:うれしいですよ! 前作のお話を頂いた時も、岡田くんとだからとお引き受けしたのがこの『ザ・トラベルナース』でした。そういう意味では、僕に言わせれば、岡田くんが活躍するのは当たり前ですね。
岡田くんは人間性がみんなに愛されているというのは大前提としてあるんですけど、彼はとっても不器用で、なんでもフランクにやれるというわけじゃない。その鬱積みたいなものが芝居の中で爆発してると思ってるんです。彼は自分で“怒り”って言うけれど、僕は自分の中の鬱積なのかなと。演じていくなかで、答えの出ない疑問や葛藤が生まれ、悩めば悩むほど、それが芝居に活きていくタイプの俳優さんだと思っているんです。共演していても、いい芝居をしていると感じた時は、そのいろいろなものが溜まってるんだと思うことも、どこかにあるんです。その反発みたいなものが表現に出ている。面白いシャウトの仕方というか、割と古風なシャウトの仕方で。それが逆に今っぽく見えるのではないかなと思うんです。
岡田:うれしいです。ありがとうございます。
岡田将生
――岡田さんは、中井さんをずっと尊敬する俳優さんとおっしゃっていましたが、中井さんのどんなところに惹かれるのでしょうか?
岡田:それこそ人間性もですし、貴一さんの人との関わり方、現場の居方、作品への関わり方も含めて全部です。10年以上前に映画でご一緒させていただいた時もずっと感じていたことなんですけど、前回ドラマの時は3ヵ月弱一緒にやらせてもらうことで、より一層そういう部分を見させていただいた。今回は貴一さんを見て学んできたことを、逆に見せられたらいいなと思っています。
中井貴一
――岡田さんは今年35歳を迎えられました。中井さんがご自身の35歳のころを思い返して、今の岡田さんに何か言葉を贈るとすると、どんなメッセージになるでしょう?
中井:なんとなく35歳くらいって、いろんなものが客観的に見えてくるころ。35になると、新人・若手というくくりから“中堅のはじまり”になって、一段扱いが変わってくる。そういう節目がこの先いくつもあると思います。
俳優をやっていると「今しかできないものを」みたいなことをよく言われるんですけど、「役者に今しかできないことはないのでは? あと10年くらいしてもできるのでは?」と思ってたんです。でも、今しかできないことって確かに存在するんですよね。35の岡田くんにしかできないものがあるので、なるべくそういう仕事と出会って、年相応に変化していってもらいたいです。だって、まだ見つめ合って「愛してる」とかあるでしょ?(笑)
岡田:ありますね。
中井:僕らの世代だとないわけで。ああいう青春の「愛してる」はもう言わないんだなと思うと、その年代にやらなければいけないものを十分に演じていってもらいたいなと思います。
岡田:今言われて思い出したのが、10代のころ学園ものに出演することが多かったんです。その時、同世代の人たちは、学園ものをやり続ける俳優と、いったんどこかで区切りをつけてスーツを着たいという人が出てきて。タイミングで僕はスーツを着て頑張ってやっていたんですけど、もう少し制服を着たかったなって思ったりしてるくらいなんですよね。20代前半にも新人の会社員とか、新人の警察官とかよくやらせていただきましたが、今35歳っていうのは何ができるんだろう?ということは常に意識していますね。今頂いた言葉を胸に、精一杯自分と向き合って頑張っていこうと思います。
(取材・文:佐藤鷹飛 写真:上野留加)
ドラマ『ザ・トラベルナース』は、テレビ朝日系にて毎週木曜21時放送。