河合優実&吉田美月喜、大注目若手の2人が追う“背中”とは 俳優としての展望も語る
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――藤野と京本の関係性は、とても尊いものだなと感じます。お2人の目にはどのように映りましたか。
河合:京本の描いた絵と出会うまでは、藤野には「自分は他の人よりも優れている」という自負があったと思うんです。藤野は京本と出会って挫折を経験しましたが、そこから一緒に漫画を描ける関係になれたというのはとても幸運なこと。もしその経験がなかったら、藤野の欠点というか、誰かより優位に立とうとする部分を持ったまま、人生を歩んでいたかもしれません。京本といることで成長できた部分もたくさんあると思うので、お互いにすばらしい出会いといえる存在だったのではないかと感じています。
吉田:京本から見ると、藤野はとてもカリスマ性がある人です。そうやって惹(ひ)かれていく姿は危うくもあり、その純粋さこそが京本の魅力とも言えるかもしれません。優実ちゃんが話したように、お互いにとってとてもステキな出会いで、影響をし合えることってすばらしいなと思いながら2人を見ていました。
――本作は、“背中”が大きなキーワードになります。お2人にとって“追いかけたい背中”や“思い出に残る背中”だと思うような存在がありましたら、教えてください。
吉田:私は、母の背中です。私は母に対して、京本が感じる、藤野への憧れのようなものを抱いていて。母はボーイッシュで、行動力があって、一匹狼のようなとてもかっこいい人なんです。小さな頃から、母には「芯のある女性になりなさい」と言われていて、そう言える姿もかっこいいなと思っています。
――とても素敵ですね。また今、俳優さんとして大切にしていることはどのようなことでしょうか?
吉田:俳優という仕事はとても不安定な仕事でもあり、自分が頑張った分だけ結果が出るものでもなく、運が大事になることもあって。だからこそある意味、開き直るというか、オーディションがうまくいかなかった時などは「あなただけが悪いんじゃないんだぞ」と言い聞かせるように、「きっといい出会いもあるはずだ」という考え方をするようにしています。そう考えられるようになったことは、私にとって心の救いになっています。
(左から)吉田美月喜、河合優実
――河合さんは、いかがでしょうか。
河合:まだ事務所に入る前に、自主映画に出演させていただいたことがあって。それが私にとって初めての映画でしたが、最後に撮ったのは明け方のシーンでした。撮り終わった後に、機材を持って光の中を帰っていくスタッフさんの背中がとても印象に残っています。みんなで映画を作っているという雰囲気を感じたのも初めてのことで、その後ろ姿を見て、味わったことのないような感動を覚えました。それが私にとって、撮影現場の原風景と言えるものになっています。
また美月喜ちゃんが言ったように、私も今いるのは、頑張ったら、目指す場所に行けるという世界ではないのかなと感じています。道筋が決まっていないからこそ、面白いのかもしれません。自分がその時々に興味や責任を持てるもの、面白いと思うものを追いかけていたら、自然とかっこいい大人になれるのかな、そうだといいなと思っています。
(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)
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