劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』藤本侑里×上坂すみれ×小倉唯×福嶋晴菜「それぞれのウマ娘が切り開いた“新たな可能性”」
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――競馬に関する史実と重ねて作品を見たとき、とくに感動したことは?
藤本:ジャングルポケット号が出走した2001年の日本ダービーの実況で解説されていたのですが、馬主さん、調教師さん、厩務員さん、そして角田晃一ジョッキー含め、クラシック前に屈腱炎を発症し涙をのんだフジキセキ号とまったく同じチームでダービーを制覇したという関係性が、今回の劇場版でポッケ、フジさん、タナベトレーナーの3人のチームのドラマとして描かれていて、とても感動しました! あとは、同年の皐月賞ゲート入り前の「速くなければ戦えない、強くなければ越えられない」という実況も、耳に残るリズム感も相まってすごくカッコいいんですよね。
上坂:作中でもオマージュされていますけど、あの実況を聴きながらゲートインするのって、ハードルを上げられている感じがして、すごく緊張しますよね(笑)。
藤本:劇場版の実況もこだわって録っているからこそ、なおさらそのリンク性を感じましたよね。
上坂:私もテイエムオペラオー号が年間無敗を決めた2000年の有馬記念の「テイエムは来ないのか? テイエムは来ないのか? テイエム来た! テイエム来た!」という実況を聴きましたが、かじりつきたくなってしまうほどの名調子がとても印象的でした。
(C)2024 劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」製作委員会
――本当に気持ちが高ぶる実況ですよね。また、タキオン目線ではいかがですか?
上坂:タキオンは史実でも無敗で、実際に走っている姿もすごく優雅なんですよ。最後のレースとなった皐月賞での「アグネス、アグネス、大丈夫!」という実況もすごく印象的で、今作でも「大丈夫」という言葉が使われていましたが、これからを期待されていたからこその切なさをそのセリフの中に感じて……。だからこそ、劇中で最後のIFの実況が流れたとき、彼女も新しい可能性を切り開くことができたのかなと思うことができましたし、これからもゲームで何回も育成しようと思いましたね。
(C)2024 劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」製作委員会
――そうしたIFストーリーが素敵なところも『ウマ娘』の大きな魅力ですよね。小倉さんはいかがですか?
小倉:カフェは劇中の前半体調が悪いシーンが多くて、私も演じていて辛く、その期間にあたる史実のレースを見ていても込み上げてくるものがあったのですが、そこからGI初勝利を収めた菊花賞を皮切りにものすごい快進撃を見せて。今回の劇場版では、最後のシーンで「追いついてみせます」というセリフを言うんですよ。きっとそこから彼女は自分の目標を叶えていったんだと思うと、改めて感動的なシーンだなと感じますし、史実を知っているファンの方にはまた違った目線から感情移入していただけるのかなと思います。
(C)2024 劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」製作委員会
――福嶋さんはダンツフレーム役として携わったことで、感じたことはありますか?
福嶋:私は競馬にはまだまだ詳しくはないものの、今回ダンツフレームを演じさせていただいたことで、ピンクの面子や勝負服の市松模様を見ただけでテンションが上がったり、昔のレースシーンを見ていても「ダンツがんばれ! ダンツがんばれ!」という気持ちが込み上げてきて。劇中でも、ダンツの「わたしが勝つんだ!」という想いや、ポッケの「タキオンを超えてやる!」という想いが描かれていますが、もしかしたら、本物の競走馬たちもそんなことを考えていたのではないかと思うと、感慨深いものがありますね。
(C)2024 劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」製作委員会
――最後に、各ウマ娘の注目してほしいポイントも含め、ファンのみなさんへメッセージをお願いします。
藤本:ポッケ目線からは、やはりフジさんとタナベトレーナーとのチーム感が注目ポイントです。落ち込んでいたポッケが立ち直るきっかけをくれたフジさん、そんなポッケを見て決意を新たにしたフジさん、そして彼女たちの想いを受けて前向きな気持ちを取り戻したタナベトレーナー。この3人の互いに作用しあう尊い関係性にぜひご注目ください!
藤本侑里(ジャングルポケット役)
上坂:普段ハイライトがない目をしているタキオンですが、最後のジャパンカップのとあるシーンで、そんな彼女の目にキラキラとした光が宿る描写があるんです。きっと長くタキオンのことを応援してくださっているトレーナーのみなさんには、それがタキオンの新しい可能性が開いた瞬間なのだと感じていただけると思います。劇場を後にするときには、ポッケのように“ニヤリッ”とした表情になれるような喉越し爽やかな映画になっていますので、ぜひたくさんの方に楽しんでいただけたら嬉しいです。
上坂すみれ(アグネスタキオン役)
小倉:タキオンに見せる少し呆れた表情や、耳の動き方、部屋の装飾に至るまで、今回の劇場版には私自身も初めて知るようなカフェの情報がたくさん詰まっていました。一瞬ではありますが、レース中に彼女が追いかけている“お友だち”も描かれていたりするので、そうしたアニメーションならではの部分や、なによりここまで彼女が動いている姿を見ることができるのはとても貴重な機会だと思うので、細かな描写やセリフに注目しながら見ていただきたいなと思います。
小倉唯(マンハッタンカフェ役)
福嶋:キャラの発表から劇場版公開までの期間が短かったダンツですが、劇中では「私も勝ちたい」という彼女の熱い信念が描かれています。まだダンツのことをよく知らないというトレーナーさんにも、レースにかける彼女の真剣な想いや普段の可愛らしい一面に触れていただきたいと思いますし、この4人の世代のみならず、たくさんのウマ娘が作中に登場するので、ぜひ色々な視点に立ちながら何度でも劇場へ足を運んでいただけたら嬉しいです!
福嶋晴菜(ダンツフレーム役)
(取材・文・撮影:吉野庫之介)
劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』は、全国公開中。