小林虎之介、『下剋上球児』からプライド高い研修医へ 大役挑戦に贈られた言葉は「調子に乗るなよ!」
――今回演じられる瀬戸廉。どんなキャラクターだと捉えましたか?
小林:実家が東京の大きな病院で、医者にならないといけないというプレッシャーの中の生活がずっと続いていたと思うんです。自身もしっかりこれまでたくさん勉強して医者になって、プライドもそれなりにある。知識もたくさんあるわけなんですけど、知識だけじゃ戦っていけないってことを物語の中で経験していくというか。
演じていても苦しいなって思う部分もたくさんありました。自分ではできると思っていたのにどんどん打ち負かされる感覚は、人生生きていたらそういう経験をたくさんの人がしていると思うんですけど、瀬戸はたぶんその経験の大きなものは初めてだったんじゃないかなとも思いました。
――演じるにあたり、役作りは大変でしたか?
小林:もともとフジテレビの医療ドラマが好きだったんです。『Dr.コトー診療所』は何回も見ていますし、『PICU』も見ていたので、おのずとイメージできるというか。医者ではなく研修医なのでガチガチに医者をまねようとは思っていなくて、『PICU』Season1の吉沢さん演じる志子田先生が近い立場というか、置かれている境遇が若干似ている部分もあったので、吉沢さんの演技を参考にさせていただきました。
『PICU 小児集中治療室 スペシャル 2024』場面写真 (C)フジテレビ
――吉沢さんをはじめとする共演の皆さんはキャリアのある皆さんばかりです。
小林:皆さん何をやっても受けてくださる方たちなので、僕が物怖じするようなことは一切なくて。皆さんに身を預けて、感情を出していった感じでした。
――特に印象に残っているシーンはありますか?
小林:安田顕さんとちょっとシビアな、重たい雰囲気のシーンを一緒にする機会があって。吉沢さん、甲本雅裕さんと4人のシーンだったんですけど、気持ち的に僕もちょっとつらいシーンで、しかも4人もいるのでカットもそれなりに多くて、後半すべて同じ芝居が難しくなってきたときがあったんです。その時に安田さんが「大丈夫、大丈夫」って言ってくださって。僕もつい力みが心の中で出て来始めていたのですが、「大丈夫。全部受け止めるから」みたいな雰囲気を出してくださって、そこからまた僕の心も和らいで感情が出ることがありました。やっぱり、すごくたくさんの経験をされてきている方なので、そうした姿を見せてくれて、すごくやりやすかったですし、頼もしかったです。
――安田さんが演じられる植野先生そのものですね。
小林:植野先生にしか見えないですね。学ぶことが本当に多くて。
でも一緒にドラマをやっている以上同じ土俵に立っているので、クオリティを僕で下げるわけにはいかないっていう戦いもありました。大事なスペシャルドラマでゲストとして大役を任されたわけですから、世界観を壊しちゃダメだという責任感はありました。とにかく変な芝居をしたら俺は終わりだっていうプレッシャーの中でやっていました。完パケを見るのが怖くて、「頼む! 見れるものであってくれ!」っていう心境です(笑)。
『PICU 小児集中治療室 スペシャル 2024』で共演する(左から)吉沢亮、小林虎之介 (C)フジテレビ
――(笑)。今回演じられる瀬戸は、患者さんの推しアイドルに似ているイケメン先生という設定もあります。
小林:大丈夫かこの設定?って思いましたよ。実は今回一人二役でアイドル役もやっているのですが、なんならこの作品で最初にしたのはそっちの役の撮影なんです。小道具で登場するカレンダーやアルバム、ウチワなどの撮影をしたのですが、その時は周りのスタッフさんに乗せられながらやりました。最初はめちゃくちゃ恥ずかしかったんですけど、ついついそこは調子に乗っちゃいましたね。あんなに「調子に乗るな!」って言われていたのに(笑)。
撮影したものは芝居の場面に出てくるんですけど、恥ずかしくてしょうがないです。目の前には吉沢さんがいて、ニヤニヤしているわけですよ。「はっず!」って(笑)。吉沢さん演じるしこちゃん先生よりイケメンって言ってくれてる子どもとのシーンでは、勘弁してくれ~って思いました。