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119番指令室に密着 『エマージェンシーコール』制作陣が伝えたい緊急通報のリアル

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◆通報者のその後は番組で伝えず その意図とは?


『エマージェンシーコール~緊急通報指令室~』エピソード8「つかの間の静寂」より (C)NHK
――制作にあたり、一番気を配られている点はどんなことになりますか?

石川:やはり、プライバシーの侵害がないようにということは、かなり丁寧に確認しながら進めております。一番はオリジナルのフォーマットもそうですけども、(通報者や搬送者が)特定がされないようにということ、そこは最大限注意して制作しております。

――番組を拝見していると、通報者がその後どうなったかについては触れない構成になっていますが、そこはなぜでしょうか。

岡田:たくさん通報が来て、切ったらすぐ次の通報が来るので、オペレーターもその後どうなったかっていうのは基本的には知らされないのですよね。ですので、制作する上でも、視聴者もオペレーターのように指令室でリアルに進行していることを感じてほしいと思っています。一本の電話が繋がっている「今この瞬間」に全集中して命を救おうとしているオペレーターの姿勢を大切に編集しています。

――実際に制作されている中で、改めて感じたこと、気づいたことなどはありますか?

岡田:いろいろな気づきはあるのですが、緊急回線(通報)の緊急度の考え方って本当に人それぞれだなと思いました。その人にとっては、緊急だけれども、受け手にとっては緊急度低いなといったものや、いたずらとか…。あとはいわゆる不要不急の通報の多さと、それに割かれる時間がすごく多いなと思いました。番組の中でそうした通報のコーナーというものを作り、不要不急の通報を控えなくてはと感じてもらえたらなという思いがあります。

――子育て中の方が、この状態は緊急なのか子どもにはよくあることなのか判断がつかず不安の中、救急車をお願いしていいのかわからないのですが…といった感じで通報されてきている方もいらっしゃいましたね。

岡田:やはりお子さんに関する通報では、特に1人で育児をされている、自宅で子どもとふたりきりの時に、様子がおかしい、怪我をしたという通報がどの都市でもありました。不安になって電話をかけてこられて、オペレーターの方の声掛けですごく安堵されて涙ぐまれる方も多かったです。

――通報を受けるオペレーターの皆さんにはどんな印象を受けましたか?

岡田:基本的には、新人の消防職員は配属されない部署と聞いています。現場の経験がそれなりにあって現場のことが想像できることが大切なので、ものすごく過酷な現場経験を積んだ方が多く来られています。その中でも各々信念をお持ちで、それが声掛けのトーンなどに出ていて、優しい口調で寄り添う方もいれば、一見、きつく言っているように見える方もいるんですけど、その話し方にはそれぞれ理由があるんです。いろんな質問を投げかけたり、必要最低限のやりとりで電話を切ったりとそれぞれスタイルがありますが、その裏には必ず現場経験や指令センターでの経験に基づいた信念があるので、それをインタビューで聞くようにしています。

『エマージェンシーコール~緊急通報指令室~』エピソード7「夜のハイウェイ」より (C)NHK
――通報者の方もいろいろな方がいました。中には高圧的な印象の方も…。

岡田:通報者にとっては非日常・緊急事態なので、焦るがあまり声を荒げるっていう方もいて、でもオペレーターはそれに引きずられないということをものすごく大事にしています。よく言われるのが通報者が声を荒げている時こそ、オペレーターはゆっくり言葉を掛けるのが大切ということです。また、電話を切ったら一回リセットというか、気持ちを切りかえる。そうしないと次の人を助けられないので。そこのメンタルの強靭さというのはものすごくて、そこは皆さん訓練されてますね。

石川:私もこの番組を通して確かにそうだなと、改めて思ったのは、指令室で電話を受けた人がそのまま救急車に乗って行くわけではないということです。そこはチームで動いているんですけど、通報する人にとっては、一生に何回あるかないかのことなので、そのことはよく分からない。オペレーターから「救急車は、もう向かっていますよ」って何度も言われても、通報者は状況がよく分からなくて、緊急度が高い中で緊張して、「早く来て!」と声を荒げるような感じになってしまうこともあるのかなと思いました。

岡田:消防の当たり前と一般市民の当たり前が違う時もやはりあるので、そこのすれ違いを少しでも埋められればと思い、番組のホームページでブログを始めました。通報を聞きながらもう向かっているよっていう情報ですとか、救急車の向かう住所をいち早く伝えることが大事ですとか、番組では伝えきれないところをブログでお伝えできればと思っています。

特に住所を伝える重要性については消防側と一般の通報者で認識に違いがあるように思います。消防は何度も何度も確認して住所の位置を確定させるまで丁重にやっているんですよね。そこでイライラされる通報者も多いんですけど、それは違う家に行ったらその分時間がかかってしまう結果になるので、どうしても必要なプロセスであったりします。詳しくは番組のホームページに公開しているブログを読んでいただけたらと思います。

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◆「ありがとうと言われることはないんです」オペレーターの言葉の中に感じた志

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