賀来賢人が挑んだ新境地 主演・原案・共同プロデューサーとして創り上げた“忍び”の世界を語る
――賀来さんはデイヴ監督を「天才」と評していらっしゃいましたが、どういったところにそのセンスを感じたのでしょう。
賀来:彼が生み出す脚本やセリフ運びが、僕が見たことがないレベルのもので「この人でないと作れない、撮れないストーリーだ」と感じた部分が大きいです。なので彼に監督もやってほしいとオファーしました。
デイヴが今回フォーカスした忍者の面白さは、我慢や忍耐といった“忍ぶ”部分でした。史実にも基づきますが、お酒を飲んじゃいけないし肉も食べちゃいけない、セックスもしてはいけないといった縛りの中で常に陰に隠れて生きてきて、仕える先が悪か正義か知る由もないという忍者の“悲しみ”に着目する部分が、僕にはないものでした。
これはデイヴが話していたことなのですが、奥ゆかしさや優しさで気持ちを表に出さない日本人の遠回しな会話がすごく面白いと。例えばスペイン人だったらもっとパッションにあふれたストレートな会話になるでしょうし、僕たちが海外の方々の感情表現を面白いと思うように、日本人という人種の中に、もっともっと面白いものは眠っているんだと改めて気づかされました。たとえば日本語は「てにをは」一つでニュアンスが変わる言語ですし、Netflixのように世界配信ができたり、SNSが普及している時代だからこそ自分はもっと日本の文化や景色を知っていかないといけない、と思わせてくれました。
――お話を聞いていて、デイヴ監督との出会いが賀来さんのクリエイティブな面をより進化させたのだな、と感じます。
賀来:デイヴとは国籍も世代も違いますが、共通言語といいますか「良い」と思うところが本当に一緒で、イメージ共有はものすごく早かったです。僕らが盛り上がっちゃって、上層部が「待って! 予算がさらに膨れ上がっちゃう!」ということがあったくらい(笑)。「でもやりたいんです!」と子どものようにゴネましたが、それでも入れることが出来なかったアイデアはたくさんあります。そういった意味では、やりたいことを100%詰め込めたわけではありません。それはネガティブなものではなく、今回はこの形がベストだと自信を持っていますし、入れられなかったアイデアは、もし機会があれば続編でできたらいいな、と。
――『忍びの家 House of Ninjas』は大きな挑戦だったかと思いますが、“燃え尽きた”ということはなく…。
賀来:はい。むしろ次が勝負だという気持ちです!
(取材・文:SYO 写真:上野留加)
Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』は、2月15日からNetflixにて独占配信開始。