「これまでにないブラピが見られる」と、本作で見せたブラッドの新鮮な表情に魅了されたという津田。レディバグは、仕事中にいつも事件に巻き込まれてしまう運の悪い殺し屋だが、津田は「レディバグは悩み多き殺し屋。ずっと困っているブラピが見られる」と楽しそうに話す。

　津田の好きな“ブラピ映画”を聞いてみると、「彼がまだデビューして間もない頃に出演した『リバー・ランズ・スルー・イット』を観た時は、“この人は、絶対にこれから出てくるだろうな”と感じるような輝きがあって。素晴らしかったですね」と惚れ惚れ。


　「作品の選び方もステキで、『12モンキーズ』や『スナッチ』など、斜め上を行くような作品にもしっかりと出演している。『12モンキーズ』では、ブラピがイカれたキャラクターをめちゃめちゃ楽しそうに演じていて、“こういう役をやりたかったんだろうな”とこちらまでうれしくなって。芝居小僧というか、本当に芝居が大好きなんだなと感じますよね。プロデューサーとしても勢いがあって、ハリウッドスターでありながら、インディーズ魂のようなものを持ち合わせているところもあり。ものすごく魅力的です」と熱弁をふるった。

■「僕の役者人生は幸運の連続」

　さらに「『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のブラピは、いい感じにシワがあって、いい歳の取り方をしているなと思いました」とブラッドがレオナルド・ディカプリオと共演を果たし、2019年に公開された映画について言及した津田。彼自身も「年齢を重ねることで、できることが増えたり、肩の力の抜き具合が分かってくるところもある」と年齢を重ねることのよさを実感しているようで、「そうすることでより伝わるものがあったり、表現が豊かになることもあるはず」と吐露する。

　舞台俳優としてキャリアをスタートさせ、1995年のテレビアニメ『H2』の野田役で声優デビューした津田。代表作を挙げればきりがない人気声優となりつつ、近年はドラマ『最愛』（TBS系）や『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』（テレビ朝日系）、『オールドルーキー』（TBS系）など俳優としても出演作が途切れず、大車輪の活躍を見せている。津田は「アニメ、吹き替えのお仕事も変わらずに楽しくやらせていただいていますし、近年はナレーションや、映画、ドラマなど実写のお仕事もさせていただき、感謝しかありません。これまでご縁のなかったような方にもお声がけいただけるようになって、ここまで続けてきてよかったなと思っています。出会いやご縁が発展して、また次につながっていくものなんだなと感じています」としみじみ。自分の役者人生は「幸運の連続。つくづく、そう思っています」と出会いの大切さをかみ締める。


　自身の声について「変わった声だと感じています。いろいろな役を演じられるタイプだとは思っていなかった」と明かした津田だが、それでいて役の振り幅を広げていくまでにはどのような道のりがあったのだろうか。

　「まずは周囲が、僕のこの声を面白がってくれたことが、ありがたいことだなと思っています。声優をやり始めた頃は、声を“音”としてしっかりと出すことを覚え、そこから“こういった表現もあるんだ”とテクニカルなことを含めいろいろなことを学んでいきました。面白いと思って僕に役を振っていただけたとしたら、自分の積み上げてきたものをしっかりと発揮して期待に応えたいし、いつもそこに新しいことも一つ乗せられたらいいかなと思っています。うまくできるかできないかは置いておいて、常に挑戦していきたい」と尽きぬ探究心とチャレンジ精神があってこそ、新境地を開き続けている。

　「いろいろな役柄を演じさせていただいてきましたが、今は“やっぱり芝居は難しい、だからこそ面白い”と初心にかえるような気持ちでいます」と清々しい表情を見せた津田。そんな彼にとって、映画はいつも刺激をくれる存在だそうで、「本作でも1本のペットボトルから急に話が違う方向に展開していったり、ものすごく面白い仕掛けがありました。映画を観ながら、ハイグレードな表現に追いつきたいと感じたり、表現方法にはいろいろなものがあるなと学び続けています」とコメント。監督業への意欲にもさらに火がついた様子で、「そろそろ長編映画を撮りたいなと。言霊になるといいな」と穏やかな笑顔で願っていた。（取材・文：成田おり枝　写真：小川遼）

　映画『ブレット・トレイン』は、9月1日より全国公開。