『カムカムエヴリバディ』きぬちゃん・小野花梨、芸歴17年「本気で辞めたいと思ったことはない」
連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)で、ヒロインの幼なじみ“きぬちゃん”を確かな存在感で演じ、視聴者の圧倒的支持を得た女優の小野花梨。知名度・人気ともに上昇中の今の率直な気持ち、この春控える大きな挑戦となる舞台出演への思いを聞いた。
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作・演出の岩松了に怖いイメージはない
小野が出演する舞台『青空は後悔の証し』は、岩松了が書き下ろした新作。風間杜夫、石田ひかり、佐藤直子、豊原功補といった芸達者なベテラン勢に囲まれる中、風間演じる男の元を訪れ、その家族に波紋を投げかける謎めいた若い女を演じる。
――舞台出演は3回目。前回の『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』に続いての、岩松さん作・演出ですね。
小野:はい。でも、前回は若手育成のワークショップといいますか、何も分からない、何もできないことが前提の若手が集まって、岩松さんにオリジナルで書き下ろしていただき、いろんなことを教えていただくっていう会だったんです。もし違う普通の作品だったら、こういう岩松さんは見られないんじゃないかっていう教え方や接し方をしていただいたので、今回は2度目とはいえ、新しい気持ちで“よろしくお願いします”という感じです。今回の作品も岩松さん節と言いますか、岩松さんがぎゅっと詰まった作品になると思います。とても楽しみです。
――前回のお稽古などを通して、岩松さんにはどんな印象をお持ちですか?
小野:一番最初にお会いしたのは、『おじいちゃん、死んじゃったって。』という映画で娘役をやらせていただいた時で。そこでは、どちらかというと和ませ役と言いますか、光石(研)さんや美保純さんとか、皆さんが岩松さんの話を聞いて爆笑するという現場だったんです。それを私は端っこのほうで見させていただいていて、“あ、こんな怖そうな人がこんな面白いこと言うんだ!”っていう第一印象から入っているので、そんなに怖いイメージはなくって。
舞台稽古でも、理不尽に怒鳴り散らすというよりは、ちゃんと理屈を添えて教えていただける感じ。“なんでこの人こういう演出するんだろう? なんでこう言ったんだろう?”と疑問に思うこともなく、演出自体がとっても勉強になる印象で、すごく楽しかった思い出があります。
――今回は共演者の皆さんも、本当にベテランの方ばかりで…。
小野:恐ろしい~(笑)。豊原さんとは、同じシーンはなかったのですが、映画『南極料理人』の舞台あいさつでご一緒したことがあります。でも、あの時私は小学5年生とかだったので、もう13年くらい前…。“はじめまして!”の体で行こうと思います(笑)。大先輩方からいろいろなことを盗ませていただく気持ちで頑張ります。
――映画やドラマでのご活躍が続きますが、舞台でのお芝居についてはどんな思いをお持ちですか?
小野:もちろん恐ろしい部分も、難しいと思うこともありますけど、こういうお仕事をやらせてもらっている以上、個人的には避けては通れない道というか、どんな思いになっても挑戦し続けなければいけない場所だなと。お客さんの拍手を直接浴びられる場所ってそうないじゃないですか。すごく貴重な場所ですし、挑戦し続けたい場所だなと思います。
映像だとカメラが寄ってくれるし、撮り直しもできるし、ダメだったら“ごめんなさい、もう一回”って言えちゃう。その点、舞台は“ごめんなさい”なんて言えないし、寄ってもくれない。観劇していても思うんですけど、舞台の持つエネルギーってすごい。映像とは違うまったく別の魅力があるなと感じています。
映像では、後ろの方でちょこちょこしていても要らなかったら切ってくれるだろうなととりあえずやっちゃえ!というところもあるのですが、舞台って、そこにいなきゃいけないけど、邪魔もできない。邪魔はできないけど、もちろん休むことはできないっていうバランス感覚というか、一個一個考えながらやっていかないといけないので、そこは難しいですね。
――体力や気力のキープも難しいですよね。
小野:体力がどうなんて口が裂けても言ってられないです(笑)。でも、私、しんどいなって思ったことないんですよ、若いんですかね?(笑) 声もそんなに弱くなくて枯れたこともないし…。なので、いっぱい寝て、現場で一番元気でいられたらいいなって思っています、気持ちは負けないように。