『ハヤブサ消防団』全員なんか怪しい! “消防団”おじさんメンバーたちを深掘り
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<梶原善>
森野洋輔を演じる梶原善
そんな賢作と郁夫の間に入って仲裁する役回りなのが、副分団長で役場の土木課勤務の森野洋輔。ふんするのは梶原善である。三谷幸喜主宰の東京サンシャインボーイズの公演で初舞台。劇団休止以降も、三谷作品の常連としてキャリアを重ねた。映像界への進出においても、『王様のレストラン』(フジテレビ系)、映画『12人の優しい日本人』『ラヂオの時間』と、やはり三谷作品の印象が強いが、三谷作品イコール梶原善というより、素直に巧い役者として梶原善が浮かび、結果的に、その出演作の多くに三谷作品が並ぶといった感じだ。
近年では、そんな三谷が脚本を務めた大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合ほか)のアサシン・善児役で強烈なインパクトを与えた。『鎌倉殿』での善児の最初の“仕事”が子どもをでき死させることだったこともあって、本作初回放送ラストでは、「梶原善と水はダメだろ」とSNSの盛り上げに一役買った。
<満島真之介>
藤本勘介を演じる満島真之介
ハヤブサ消防団には、ぶつかり合うおじさん相手に飄々と溶け込む若手も。団員で工務店勤務の藤本勘介は、満島真之介が演じる。2010年に舞台『おそるべき親たち』で俳優デビュー。12年前期のNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』への出演で人気を博す。その後もNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』『青天を衝け』、ドラマ『ナンバMG5』(フジテレビ系)、映画『キングダム』シリーズなど多くの作品に出演し、印象を残しているが、映像デビューからまだ10年少しとは意外。本作でも、太郎を前にもおじさんメンバーの中にあっても埋もれることなく、陽気かつ不思議クンな雰囲気を放っている。
<岡部たかし>
徳田省吾を演じる岡部たかし(手前)
血の気の多いハヤブサ消防団にあって少々異なるタイプの、班長であり動画配信もする呉服店の二代目店主・徳田省吾を演じるのは岡部たかし。劇団東京乾電池に所属していた経歴を持つ。CMディレクターとして知られる山内ケンジの脚本・演出による演劇プロデュース・ユニット「城山羊の会」などのプロデュース公演に多数出演。映像作品でも、数々の作品で脇を固めてきたが、ここ数年グンと知名度を上げ、人気を得ている。
特に『エルピス-希望、あるいは災い-』(カンテレ・フジテレビ系)で演じたプロデュサーの村井は、パワハラ上司という入りから強く支持される登場人物へと成長したが、それは岡部が、村井に息を吹き込んだからだった。本作でも持ち前のボサ髪をよりボサボサに、ヌルっと皆の隙間を満たすような省吾を演じる。
■チェックすべき点が盛りだくさんの『ハヤブサ消防団』
冒頭に触れた通り、本作は池井戸潤の原作ものだが、それはあくまでもベースであり、この先何が起こるか分からない。素晴らしいロケーションも見事に生かされ、物語の展開も俳優たちの演技も、これから何を見せてくれるのかますます楽しみでならない。そして村の人々。全員もれなく怪しく見えるが、それは“ハヤブサ消防団”のメンバーもしかり。見れば見るほどに、愛すべき消防団に見えてくる彼ら。しかし、彼らがただのいいおじさんで終わるだろうか? 存分に好きにさせてから、私たちのハートを奈落の底に突き落とす可能性は十分にある。
そして、巻き起こっている放火の理由。その狙いは? 太郎が受け取ったシャクナゲの警告の意味は? そもそも犯人がひとりだとは到底思えない。村に巣食う闇に太郎と立ち向かうとともに、消防団メンバーの魅力にはまり、またイチイチ怪しい村の人々をチェックして……と、これは忙しい木曜夜になりそうだ。(文・望月ふみ)
木曜ドラマ『ハヤブサ消防団』は、テレビ朝日系にて毎週木曜21時放送。