『鎌倉殿の13人』忘れられない“退場者”7選 謀略渦巻く鎌倉で散っていった人々…最終回前に振り返る
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■善児(梶原善)第33回・自ら育てたトウにより暗殺
善児を演じた梶原善
『鎌倉殿の13人』オリジナルキャラクターであるアサシン・善児。頼朝の第1子・幼い千鶴丸を暗殺したのを皮切りに、歴史の裏で多くの人物を淡々と始末してきた。ネット上では、次週予告で善児がチラリと映るだけで「地獄確定」とされるほどにその存在感は大きかった。
しかし善児に、徐々に“人の心”が。善児を慕う頼家の息子・一幡には、刃を向けられなかったのだ。そんな善児は、自身が殺したある夫婦の娘・トウ(山本千尋)を「2代目」として育てていた。そして最後にはトウに、“両親の仇”として刺殺される。「この時を待っていた」と言うトウに刺されながら、小さくうなずいたように見えた善児。成長した弟子の実力を認めたのか、自身の呪われた役目が終わることに安堵(ど)したのか…その本心は分からない。
■畠山重忠(中川大志)第36回・「畠山重忠の乱」にて討死
畠山重忠を演じた中川大志
真面目で賢く勇敢、そして何より見目麗しい。そんな“武士の鑑”と謳われた、畠山重忠。義時とは同世代で、常に高め合ってきた。武士として完璧な重忠だったが、義時の父で執権だった北条時政(坂東彌十郎)にとってはトップに上り詰めるにあたって邪魔な存在に。時政が娘婿である重忠に謀反の汚名を着せたことで、「畠山重忠の乱」がぼっ発してしまう。
共に鎌倉を守ってきた義時と泥臭いタイマン勝負で殴り合い組み伏せるも、あえて義時にとどめを刺さなかった重忠は、フッとゆるく微笑みその場を後にする。“完璧”だった重忠が最後に見せた人間臭い表情は、黒い思惑のうごめく鎌倉に愛想をつかしたようにも、自らの人生を生き抜いた満足感がにじんだようにも見てとれた。
■和田義盛(横田栄司)第41回・「和田義盛の乱」にて討死
和田義盛を演じた横田栄司
立派な髭と人懐っこい笑顔、おおらかかつまっすぐな性格で、“『鎌倉殿』の癒やし”と視聴者から愛された和田義盛。頼朝の挙兵時から源氏に仕え、とくに3代目・実朝(柿澤勇人)には猪汁を振る舞ったり占いに連れて行ったりと、義盛は主君である実朝を弟のように愛している様子だった。
“鎌倉一の忠臣”とまで言われ御家人たちの信頼も厚かった義盛だが、その人望の厚さを義時は危険視。一度は実朝により収められるも、やはり和田と北条はぶつかることになってしまった。最期には投降するよう求めてきた実朝の目の前で、体中に矢を受け絶命。義盛の壮絶な死の間際、一緒に鎌倉を作ってきた盟友であり彼を死に追いやった本人である義時が、一瞬だけ苦悶の表情を見せたのが印象的だった。
今回紹介した“退場者”以外にも、強い印象を残してドラマの世界を去っていったキャラクターがまだまだいる『鎌倉殿の13人』。いよいよ明日最終回を迎えるが、さらなる退場者はでるのだろうか。また、主人公・義時の行く末は? テレビの前で“その時”を待ちたい。
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』はNHK総合にて毎週20時放送。BSプレミアム、BS4Kにて18時放送。(文:小島萌寧)