堂本剛版から山田涼介版まで 歴代『金田一少年の事件簿』の“神回”といえば?
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■「怪盗紳士の殺人」(第2シリーズ第5話・第6話)
1話完結と2話完結が交互に展開した第2シリーズ。1話完結エピソードもCDブック収録エピソードを初めて視覚化した「悪魔組曲殺人事件」や、大胆に原作をカットしてスピード感を持たせた「金田一少年の殺人」、ドラマ『銀狼怪奇ファイル』(日本テレビ系)とコラボした異色作「異人館ホテル殺人事件」と、テレビドラマとしての魅力を生かした粒ぞろい。そうしたなかで2話完結の3つのエピソードは、オリジナル展開を加えながらも舞台設定を存分に見せるかたちで正攻法に原作の良さを際立たせていく。
第2シリーズ「怪盗紳士の殺人」に和泉さくら役で出演した遠藤久美子(2016年撮影)
そのなかでも特に魅力的なのが「怪盗紳士の殺人」。絵画と共にそのモチーフをも盗むという怪盗紳士からの挑戦状を受け、ターゲットとして予告された世界的画家の邸宅に出向いたはじめは、そこでクラスメイトだった和泉さくら(遠藤久美子)と再会する。美しいラベンダー畑の情景はもちろん、原作と異なり第1・第2シリーズを通してはじめの同級生として登場する真壁誠(佐野瑞樹)を加えることで物語に奥行きが生まれる。“電話を待つ”という動作も現代ではできない緊張感だ。
■「速水玲香誘拐殺人事件」(第3シリーズ第6話)
堂本の第1シリーズ、第2シリーズから大きくテイストが変わった松本の第3シリーズ。メイン演出を務めた下山天の映像センスは「魔術列車殺人事件」や「幽霊客船殺人事件」のような隔絶された空間でこそ際立つが、正反対のシチュエーションで繰り広げられる「速水玲香誘拐殺人事件」でも存分に発揮される。
松本潤版で速水玲香を演じた酒井若菜(2018年撮影)
アイドルの速水玲香(酒井若菜/原作では「雪夜叉伝説殺人事件」で、はじめ(松本)と出会うが、ここでは初恋の人という設定だ)がマネージャーと共に誘拐されてしまい、はじめがその身代金の運び役を務めることになる。原作では小さなエピソードだったことが意外なほどに、1話完結のドラマの長さにマッチ。第3シリーズの特徴であるスタイリッシュな空気を、スピード感と共に体現することに。
■「雪影村殺人事件」(第4シリーズ第7話)
2度のスペシャル版を経て連続ドラマが放送された山田涼介版『金田一少年の事件簿N(neo)』の最大の特徴は、原作でもはじめの宿命の敵となる“地獄の傀儡師”こと高遠遙一(成宮寛貴)とのバトルが全体を包括していること。そうした一つの流れを最終回前に断ち切るように描かれた「雪影村殺人事件」は、ミステリーとしてよりも青春ドラマとしての魅力に満ちあふれている。
山田涼介版で七瀬美雪を演じた川口春奈
“夏に雪が降る”という雪影村に数年ぶりに訪れたはじめ(山田)。懐かしい友と再会し、その内の一人が1年前に亡くなっていたことを知らされる。そして雪の降る朝を境に、一人ずつ友人が殺されていく。原作の時点で他のエピソードと一線を画した名作であったものを、雪の描写から漂う切なさまで見事に再現。また、高遠との最後の戦い(「薔薇十字館殺人事件」)を前に、はじめと美雪(川口春奈)の関係性に確かな動きを与えるラストの駅でのやり取りがまたポイント高い。(文:久保田和馬)
ドラマ『金田一少年の事件簿』は、日本テレビ系にて毎週日曜22時30分放送。